
八玖
@rock5104
2024年11月2日

四ツ山鬼談
嗣人
読み終わった
Xで紹介ポストを見て購入。(読了日は曖昧)
著者が収集した実話怪談を体験者視点の一人称で記してあり、非常に臨場感があって怖い。しっかり怖いが、どこか物悲しく感じる話もあり、ただ恐ろしいだけではないため、一般的な怪談集というより恐怖小説の方に近い読み味ではないかと思う。
以下は個人的な話になるが、本作の舞台は私の地元で、各話の舞台になった場所もだいたいがすぐ見当のつくものばかりだった。幾度となく通った道にある場所も多く、何なら家から見えている場所もある(読んでいる間中その方向が気になって仕方なかった)。そのため、より真に迫った恐怖を感じながら読むことが出来た。普段から「ここ夜暗いよな〜。街灯も何か心許ないし、絶対一人では来たくないわ……」と思っていた場所での心霊体験も記されており、情景がありありと浮かんできて本当に怖かった。怖すぎて一回読むのを中断した。
遠くの都会にある心霊スポットやそこで起きた実話怪談なんかは、どこか現実感のないものとして怖がっていたが、実際暮らしてる所の怪談を聞くとマジで怖いんだな……ということが、本書のおかげでよく分かった。思い出しながら感想を書いている今も怖い。
また、作中に出てくる炭鉱に関する事柄についても、地元の資料館で軽く見かけたことがあるくらいの認識だったのが、本書のエピソードに触れたことで、実態のある歴史として感じられるようになった。事故物件についての話で「歴史上、人の死んでない場所なんてほとんどない」という言説をどこかで見た時、その通りだなと思ってはいたが、自分の暮らしている町にも当然そういう歴史があって現在に繋がっているんだなということを考えさせられた。
