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八玖
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@rock5104
感想の備忘録。昔読んだ本とかも思い出したら書きます。
  • 2025年7月7日
    宿借りの星 (創元SF文庫)
    Xの紹介ポストを見て購入。SFは伊藤計劃しか読んだことがないので不安もあったが、とても面白く読めた。冒頭は少し手間取ったが、最終的には世界観に没入していた。  偶然に見せかけた加害など“人間的に”なるのがいいことなのか?と考えさせられる一方で、寄生の影響もあって盃を交わしたとされているマガンダラとマナーゾの関係には心打たれた。特にマナーゾを喪ったマガンダラが目の前にある風景を見てそこにいないマナーゾを思うという描写は印象的。  終わりは何となく呆気なかったなと感じたが、ではどういうラストなら満足だったか?と聞かれると答えられない。部分的な謎解きと世界観の種明かしがなされる断章を読んでいくうちに、かなり人間にも肩入れしてしまったため、マガンダラたちに寄生を打ち破ってほしかったのか、滅んでほしかったのか、定まらないまま読み切ってしまった感がある。  ただ、読了後に考えてみると、本編を通して描かれた様々な寄生が宇宙規模でも行われていたというのは面白い畳み方だなと思う。  寂しさを残しつつも、マガンダラが、マナーゾの子供たちと共に日々を穏やかに過ごしている描写で結ばれたのは嬉しかった。  関係性萌えの視点で言えば、ガゼイエラの夫婦関係が好きだったので、示唆された彼女(たち)の終わりは少しやるせない。あと終盤ラジュリンワからマガンダラに向けられた台詞によって繰り返し社攻をふっかけていたという過去に違う文脈が乗るのも良かった。  全体的にとても好みだったので、同著者の作品をまた読みたいと思う。『皆勤の徒』にしようかなと考えていたが、あらすじを見て『るん(笑)』の方に興味を惹かれたので、こちらの購入を考えている。
  • 2025年6月21日
    偽葬家の一族 (角川文庫)
    作者が好きなので購入。  同作者の別シリーズ『領怪神犯』が好きなので、求めていた雰囲気をまた違った世界観で味わえて満足。  絶対そうだろ!!と思っていた伏線も、予想通り回収されて良かった。  にわかではあるが民俗学や宗教学に興味があるので、その方面からのアプローチが嬉しい。今作については「人が作ったストーリーに怪異を当てはめて祓う」という設定が興味深い。目新しいなとも思うし、実際に人を恨んでもおかしくないような目に遭った人物を祀り鎮める御霊会をちょっと捻って因果を逆にしてある(こんだけ祟るってことはこんな辛い目に遭ったんでしょ?というある種の決めつけを行っている)ようにも思われて面白かった。  あと単純に「人間の意志(信仰)が目に見えない存在の形を決める」話が大好きなので嬉しいです。その意志が伴ってないとちゃんと祓えない、という話もしてくれてるので余計に。  メインの兄弟もだが、偽りとはいえ“家族”として関係を築いている(いた)人たちの話が、敵方含め満遍なく良い。家族になったから助けられた人がいれば、家族になってしまったから止められなかった人もいる。既に登場済みの人々の続きを見たいという意味でも、新しい偽家族の関係性を見たいという意味でも、続刊に期待したい。  あと私個人の問題だが、『完璧な家族の作り方』と続けて読んだので交互浴みたいになって情緒が大変整いました。
  • 2025年6月20日
    完璧な家族の作り方 (角川ホラー文庫)
    Xの宣伝ポストを見て購入。最近ホラー文庫公式をフォローしたけど、追ってない作者の作品を開拓できて助かる。  そんなに怖くなかったが、関係性萌えとしてかなり好き。親に振り回され踏み躙られる姉弟の報われなさが顛末含めて個人的に好みの味だったので大変面白く読めた。  モキュメンタリーとしてはかなり親切に因果を説明してくれている方ではないかと思う。オチも分かりやすくてその後も想像しやすいし。  文章も読みやすかったし、同作者の二作目が出たらまた読みたい。編集部も含めて実体験として本作を売っている都合上、同名で別作品が出されるのかどうかわからないが。というか既にデビューしてる作家の別名義の可能性もあるのかも?  内容とは全然関係ないが、石敢當という言葉の意味をこの作品で初めて知った。某所のHNで見かけていたが、名詞だと思っておらず大変驚いた。
  • 2025年6月1日
    入居条件:隣に住んでる友人と必ず仲良くしてください
    Xの宣伝ポストを見て購入。  実話怪談集と小説を両方味わえて大変お得。生育環境の影響もあってもはや怪異との方が穏やかに付き合ってるような気すらする主人公だが、命懸けのビジネスである友人関係には常に一定の緊張感があり、ほんわか人外交流物とSAN値ピンチを交互に感じられこちらも大変お得。人間と人外(怪異)の関係性含めとにかく好きなもの全部乗せという感じで、大満足だった。  単巻だと思っていたがWebに続きがあったので、続刊を楽しみにしている。
  • 2025年4月5日
    お前の彼女は二階で茹で死に (実業之日本社文庫)
    Xで紹介ポストを見て購入。(読了日は曖昧)  多重解決ものをしっかりと読んだのは初めてだったが、結末の定まらない曖昧さに消化不良を覚えることは殆どなく、むしろ本作の色々とぶっとんだ非現実感とマッチしていて抵抗なく読めた。  エログロナンセンスな部分が+αではなく、ミステリ要素と絶対に切り離せない骨子となっているのも嬉しいし、この要素を使ってこんなに面白いミステリが書けるんだ……という尊敬の念すら抱いた。個人的には、小説で言えば飴村行、漫画で言えば三家本礼の作品に初めて触れた時と同じくらいの衝撃。面白いし大好きだが、かなり体力を持っていかれる。  途中、暴力ですべてを解決するターンがあるが、あまりの勢いの良さに声を上げて笑った。一般的な作品でやられていたら困惑したかもしれないが、その時点で「まぁ、そうなるよな」と思えるくらいの時間を作品と共にしていたのでスムーズに受け入れられた。  かなり独特の読み味で自分の中のニッチな需要を満たしてくれたので、同作者の他作品も読みたい気持ちはある。が、前述の通り読了に気合いがいる予感がするのでもうちょっと間を開けたい。『エレファントヘッド』が文庫になったら買います。
  • 2024年11月2日
    四ツ山鬼談
    Xで紹介ポストを見て購入。(読了日は曖昧)  著者が収集した実話怪談を体験者視点の一人称で記してあり、非常に臨場感があって怖い。しっかり怖いが、どこか物悲しく感じる話もあり、ただ恐ろしいだけではないため、一般的な怪談集というより恐怖小説の方に近い読み味ではないかと思う。  以下は個人的な話になるが、本作の舞台は私の地元で、各話の舞台になった場所もだいたいがすぐ見当のつくものばかりだった。幾度となく通った道にある場所も多く、何なら家から見えている場所もある(読んでいる間中その方向が気になって仕方なかった)。そのため、より真に迫った恐怖を感じながら読むことが出来た。普段から「ここ夜暗いよな〜。街灯も何か心許ないし、絶対一人では来たくないわ……」と思っていた場所での心霊体験も記されており、情景がありありと浮かんできて本当に怖かった。怖すぎて一回読むのを中断した。  遠くの都会にある心霊スポットやそこで起きた実話怪談なんかは、どこか現実感のないものとして怖がっていたが、実際暮らしてる所の怪談を聞くとマジで怖いんだな……ということが、本書のおかげでよく分かった。思い出しながら感想を書いている今も怖い。  また、作中に出てくる炭鉱に関する事柄についても、地元の資料館で軽く見かけたことがあるくらいの認識だったのが、本書のエピソードに触れたことで、実態のある歴史として感じられるようになった。事故物件についての話で「歴史上、人の死んでない場所なんてほとんどない」という言説をどこかで見た時、その通りだなと思ってはいたが、自分の暮らしている町にも当然そういう歴史があって現在に繋がっているんだなということを考えさせられた。
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