
ユメ
@yumeticmode
2025年6月19日

ペンギンは空を見上げる (創元推理文庫)
八重野統摩
読み終わった
感想
主人公・ハルのとある特性が終盤で明かされたとき、あっと驚かされた。読み進める中で台詞の描写に些細な違和感を抱いてはいたのだが、その正体には思い至らなかったのだ。こういう仕掛けは映像ではなく文章ならではだと思うと、心が沸き立つ。
その一方で、自分の努力ではどうにもならない理由で夢をひとつ諦めなくてはならなかったハルのことを思うと、胸が痛む。タイトルの意味が静かに胸に沁みていった。自分の力で風船ロケットによる宇宙撮影を目指し、新たな夢のためにもがくその姿はとても眩しく、思わず「頑張れ、少年」と声を掛けたくなる。君の宇宙を、どうか自由に泳いでいってほしい。

