勝村巌
@katsumura
2025年7月10日

僕に踏まれた町と僕が踏まれた町
中島らも
中島らもが三宮、灘高で落ちこぼれて浪人となり大阪芸大に入った頃の青春期の思い出を文庫本2ページずつの短いエッセイで綴った本。三島の割腹自殺とか東大紛争とかそういう時代のフーテンやらヒッピーやらの奇人たちとの儚いメモリーの数々が、愛おしさと共に描かれている。思い出はいつも儚い。その思い出が輝かしいものであればなおさら。今はもう誰もいなくなってしまった。そういう祭りの後の感じを振り返る切ない読後感がたまらない。いい本でした。