
JUMPEI AMANO
@Amanong2
2025年7月10日

柳田国男と民俗学の近代
菊地暁
読み終わった
就寝前読書
お風呂読書
第四章「農の心の現在」というタイトルが好きだった。最終節に向けてアエノコトの「現在」が整理されていく(というかイメージが拡散、乱反射していく)。〈アエノコトとは一体何だったのか〉(313頁)、そして著者はその現在を示すことで〈何に抗するのか〉(314頁)。勢いで読み切った。
終章も勢いがある。〈あえて誤解を恐れずにいおう。私は調査というものにある違和感を禁じ得ない〉(332頁)。〈調査地を語る特権的なポジションに安住してきた調査地たちは、いま、自らが拠って立つ砂上の楼閣のあやうさに目を見開かねばなるまい〉(334頁)。刺激的というか挑発的というか、著者が本当に苛立っている感じが伝わってきて、おお〜っとなった。自分の専門でも何でもないのでちゃんと読めた自信はないけど、頭の隅にこの著者の苛々をすまわせて、折に触れて取り出し考えてみたいと思う。
最後に参院選前なので(?)以下を引用しておく。本編のネタバレにもならないと思うので。
〈心地好い二項対立を求めてはならない。それは人に、自身が世界を理解し得ているのではないか、と誤解させることしばしばである。だが、その図式の単純さはその人の理解能力の貧困さそのものであって、世界そのものがその人の理解能力の貧困さに相応しいほど単純であるというのは、幸福なる無知に過ぎない。〉(317頁]