
oto
@sakana__books
2025年7月10日

水たまりで息をする
高瀬隼子
読み終わった
前々から気になっていた作品。
夫が風呂に入らなくなるという、初っ端から衝撃的な展開。
最後夫はどうなってしまったのだろう…
実家で飼っていた「台風ちゃん」が何を表していると解釈するかによって、だいぶ物語の印象が変わる気がする。
夫がどんどん汚れていく描写は嫌な臭いがしてくるようだし、水道水、雨、川など作中で出てくる水がどれもうっすら不快な感じがして、終始まさに水中にいるような、気を抜いたら溺れそうな息苦しさを感じた。
社会一般で言えば、お風呂に入って清潔にすること、他人に不快感を与えないことは常識のような気がするけれど、夫にとってはそうではない。
また、妻である主人公も夫に対して風呂に入って欲しいと伝えつつも強制はせず、義母や母、社会との板挟みになりつつも夫を受け入れ、そんな夫をも愛そうとする。
もし自分が妻の立場だったら、夫を受け入れられるだろうか…。多分なんとかして風呂に入ってもらうだろうし病院に連れていくかもしれない。ありのままの夫より社会とのつながりをとってしまうかもしれない。
なかなか共感するのは難しい作品だった。