
ソナチネ
@sonatine
2025年7月10日

ブレイクショットの軌跡
逢坂冬馬
読み終わった
直木賞候補になっている、逢坂冬馬さんの3作目。
著作のインタビューで、作家の作風は3冊目までに決まるのではないか、という言葉を思い出した。
本書は、前の2作品『同士少女よ、敵を撃て』『歌われなかった海賊へ』とは明らかに異なる作品だ。前の2作品が戦争をテーマにしたものだとしたら、今作は現代社会をテーマにした人間ドラマだ。いくつかの物語が同時並行的に進んでいくが、それぞれが何処かで交わり、それを助けるのがブレイクショットという車だ。1作目で戦争という極限状態を描ききる技術に驚いたが、今作では、重奏的に積み上げた厚みのある物語にストーリーとしての強さを感じた。物語を丁寧に積み上げた先に希望か見える小説。必読書だと感じた。
