
辻井凌
@nega9_clecle
2025年7月11日

1945 最後の秘密
三浦英之
読み終わった
感想
太平洋戦争時の知られざるエピソードを、数々の骨太なノンフィクションを手がけてきた新聞記者が、自らの取材の記憶とともに掘り起こした。どの話も目新しく、心を震わせる言葉が綴られている。特に印象的だったのは、マダガスカルを攻撃した日本人の話や原爆疎開を決断した知られざる新潟県知事の話だ。
三浦さんが描く、あの戦争を生きた人々の物語は、現代を生きる自分に、前を向いて胸を張って生きる勇気を与えてくれる。そこには、なぜか不思議な生命力や力強さが宿っている。彼が以前に著した『五色の虹』にも、同じような力を感じた。
僕が何度も読み返す一冊が『五色の虹』だ。本書に登場する先川祐次のエピソードは、『五色の虹』のアナザーストーリーともいえる内容で、続編を読んでいるかのようでたまらなかった。「知ることは傷つくことだ。傷つくことは知ることだ」という、僕が大好きな言葉がどんな状況で語られたのかも描かれており、胸が熱くなった。

