ふるえ "古くてあたらしい仕事" 2025年7月11日

ふるえ
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@furu_furu
2025年7月11日
古くてあたらしい仕事
本棚を整理していてふと目についたので改めて少し読んだ。読書をすることの面白さを確かなものにしてくれる文章に、救われている気がする。 「現実の世界だけでは、ときどき、たまならく苦しい。逃げる場所もないようにみえる。それは、スマートフォンでニュースを見ていても、SNSを見続けていても同じだ。けれど、現実に流れる時間とは別の、もうひとつの肥沃な時間を心のなかにもつことができれば、日々はにわかにその色を取り戻す。本を読むことは、音楽に耳を澄ませることは、テレビの前でスポーツに熱中することは、現実逃避なのではない。その世界をとおして、違う角度から、もう一度現実を見つめ直すのだ。あるいは、そうした虚構のフィルターをとおして、悲しみやつらいことを時間をかけて自分なりに理解するのだ。必要なのは知性ではなく、ノウハウでもなく、長い時間だ。現実に流れる時間とは異なる時間を、自分以外のどこかに求めること。そうすることで、生きることはだいぶ楽になる。素晴らしい作品は、いつまでも心のなかから消えず、それは内側から生活するものを支える。」島田潤一郎『古くてあたらしい仕事』(新潮社)p.192,193
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