
七
@mi_sprout
2025年7月12日

恋とか愛とかやさしさなら
一穂ミチ
読み終わった
思っていたのとだいぶ違った着地だった。あくまでも新夏と啓久の恋愛が中心かと思っていたけど、第2章では新夏が登場することもなくて、啓久と莉子に焦点が当てられてそのまま終わる。
見ること、見られること、写すことと写されること、眼差しについて、これでもかというほどさまざまな角度から語られている小説だった。
すごいと思う表現がたくさんあった。莉子のキャラクターが鮮烈だった。前歯がガタガタなところに彼女の尊重されてこなかった人生が表れているようで悲しくなった。
楓を守ろうとする真帆子、シンママで(おそらくは子供のために)自分の特権を守ろうとする祥子と、次々男をかえて娘や猫を道具にYouTube運用をする莉子の母親とが対比されていたと思う。娘がいるのに何度も再婚して、義父が娘の身体にフォーカスした動画をあげてるのに違和感を覚えない莉子の母親がおぞましい…
カバー裏の、付き合った直後のふたりの物語を最後に読んだのだけど切なくなった。第3章が欲しいけど、啓久が決して救われないところが現実だし、この作品なのだと思う
