
辻井凌
@nega9_clecle
2025年7月12日

中華料理と日本人
岩間一弘
読み終わった
感想
日本で中華料理がどのように受け入れられ、広がり、定番となっていったか。それを「帝国主義」から読み解いていく。本当におもしろく、知的興奮を感じながらページをめくった。日本の中華料理は、本場の中国料理とは違う。どうして違いが生じたのかも、各料理ごとに明かされる。
帝国主義は、帝国がなくなってからも続くものだ。「美味しい」や「なつかしい」という気持ちの奥底、僕らの無意識には何が眠っているのか。料理があぶり出す「何か」が本当に興味深い。「遺産」と「歴史」は違うということは、過去と現在を結びつけるときに用心しないといけない。
満洲を中華と切り離す戦前の動きや、戦後に満洲から引き揚げた人々の動きが、今の中華料理につながっている。日本人のことを考えると、結局みな満洲に行き着くのではないか。
北海道民として、ジンギスカンと帝国主義の関わりは知っておかなければいけない話だった。ベル食品や松尾ジンギスカンも登場する。ラーメンが札幌名物になったきっかけも、開拓の街でありながら“お上が作った街”でもある札幌らしい成り立ちである。


