torajiro "ほんとうの会議 ネガティブ・..." 2025年7月11日

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2025年7月11日
ほんとうの会議 ネガティブ・ケイパビリティ実践法
日本でネガティブ・ケイパビリティを広めた帚木蓬生さんによる新書。依存症の当事者グループ(ギャンブラーズアノニマス)や、福祉現場におけるオープン・ダイアローグなどのありようにネガティブ・ケイパビリティの実践を読み取る。「答えは質問の不幸である」というネガティブ・ケイパビリティの態度(個人的にはケイパビリティというより視点や態度と認識している)の重要性は強く共感する。そして紹介される現場におけるネガティブ・ケイパビリティ的な対話を「ほんとうの会議」ということも、企業等の多くの組織における会議がそれとは程遠いものであることもまったくその通りであると思う。ただ、(著者がつけたのではないと推測するが)副題に「実践法」と付けてしまうと期待と内容のズレがどうしても出てしまう。実践というからには、不祥事を起こした企業や旧日本軍での会議を推測でダメ出しするだけでなく、多くの読者が現在所属している組織における会議をどうすればいいのか、なにかしらの「ポジティブ」なヒントを得たいという人も多いだろう。この点では枝廣さんの本の方が引き続き良い。また、著者の専門や関心から文学や芸術家たちのことに多くの紙幅が割かれるのも、個人的には関心があるから良いのだが、「実践法」というタイトルとのギャップは感じてしまう。「ほんとうの」「実践法」と総じてタイトルが別のものであった方が素直に楽しめたかな、という印象。
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