
いるかれもん
@reads-dolphin
2025年7月12日

性格診断ブームを問う
小塩真司
読み終わった
学び!
岩波ブックレット
インターネットなどで気軽に受けることができる、性格診断(特にMBTI理論という理論に裏付けられていると言われている16 Personalitiesを中心に)の危うさについて、パーソナリティ心理学の研究者が書いた一冊。第1章は本家MBTI理論を紹介した上で16 Personalitiesがそれによる診断とは別物であることを紹介し、第2章ではなぜそれを楽しいと感じるのかについて解説していない。
しかし、本書の特徴は最後の第3章にある気がする。本章では、その楽しさを疑うということをしている。私自身もなんだかんだ16 personalities受けたことあるし、そういう話を楽しいと思うことがある。でもその上で「まぁ、話題になれば良い」とか「一つの参考に」みたいに、「そこまで信じていませんよ」みたいな言葉の保険をかけながら楽しんでいた。ただ、正直、そうやって言葉の保険をかけておけば良いやみたいに思っていた。しかし、果たして自分は何に言葉の保険をかけているのかハッキリしていなかったと思う。
さて、本章にはこんな一節がある。
「性格診断というものは、そこまで絶対的なものではないからこそ、楽しむことができるということになります。確かに、「遊び程度」で楽しむことは可能でしょう。しかし一方で、ここまでに説明したように「楽しいのはなぜか」を少し考えてほしいのです。その楽しみの中に、曖昧な結果に対して同意を得て、自分が思っていることを確証し、そのうち重要な決定のよりどころにしてしまうようなプロセスは存在していないでしょうか。」(p.61)
本書の主張はこの一説に集約されている気がする。私自身、「楽しいのはなぜか」を考えることで、自分の中でブラックボックス化してしまっていた言葉の保険をもう少し明確なものにできる気がする。読み終えて思うのは、詰まるところ性格診断は都合のいい言い訳にしやすいから危ないのかなと納得している。
多分、性格診断ブームはこれからも続くと思うしそういう話題をしてしまうこともあると思う。でも、頭の中にこの本から学んだことを置いておいて、たまに取り出して振り返りながらほどほどに付き合うのが良いのかなと思う。
たびたび発信しているが、岩波ブックレットはどれも大体50ページくらいで2時間程度で読み終えることができる。内容も読みやすくて、新書に不慣れな人や、中高生にもぜひお勧めしたい。本書もその一つであり、ぜひ興味を持った方は気軽に手にしてほしい。最近本の値段も高騰しているけれど、本書は680円。多分ランチ一食より安いのでは?笑。是非是非お勧めです。









