
窓
@mado
2025年7月12日

きらめく共和国
アンドレス・バルバ,
宇野和美
犬は無事
小説の冒頭で示されているとおり、これは三十二人の子供たちが死ぬ話だ。
亜熱帯の町に突如として現れた子どもたちの集団は、彼らにしか分からない言葉を話し、少しずつ町の秩序を揺るがす。やがてある事件が起こり、一斉に命を落とすことになる。
語り手は社会福祉課の課長として子どもたちと対峙し、事件から何年も経ってからこの出来事を振り返る。彼の目を通して、ドキュメンタリー作家や研究者、住人の子どもらによって記録された〈三十二人の子どもたち〉の姿が示され、だんだんと読者にも事件の全貌が明らかになってゆく。その合間に語られる、事件とは無関係のはずの語り手自身の家族を巡る記述もスリリングだ。
犬がやや痛い目に合うシーンもあるが、最後まで無事なので安心して読んでいただきたい。