
すべての本読み読み委員会
@nadare
2025年7月12日
![文學界 2025年6月号 特集 金原ひとみとヤブノナカ[雑誌]](https://m.media-amazon.com/images/I/41PuXtsLz3L._SL500_.jpg)
読み終わった
二宮金次郎
✔︎日比野コレコ『たえまない光の足し算』読了。私は選考委員じゃなくて良かったです。二重丸を飛び越えて、しじゅう、ごじゅう、年輪みたいな丸をつけてしまうと思います。「舌を露出させてみるとにがい味のするような夜」なんて表現、何に触れてどういう風に生きたら内側から出せるんだろう?
「しかし、薗はといえば、こんなこころの焼け野原のなかで、いま、どんな武器をも必要としない。
これから、じぶんの生に歯を立てないこと、それは、可能なはずだと薗はゆっくり思った。」p.72
「食べきれないほどのひかりの雨にうまれて、薗は、いままで、広げられる最大の歩幅へ、いっぽいっぽ開いてきた、この足の前への出し方は、ひとつも間違っていなかったと閃くように思った。
わたしはなにもまちがえなかった。ひかりを前にして、この足をいっぽも引かなかった。これまでわたしの身の上というのは、ただたえまない光の足し算だった。そしていまも、これからも、大股びらきで足していくだけのことなのだと薗は思った。」p.73
足ではない。"この"足。火傷するほど熱い"この"があった。本当に素晴らしかったです。


