ゆらゆら
@yuurayurari
2025年7月14日

優しい地獄
イリナ・グリゴレ
読み終わった
ルーマニアへの興味から手に取る。最初は“早く・浅く”という自分の日常の在り方とのギャップのせいか、うまく入れなかったのが、少しずつ、記憶や日々に深く潜る様な文章に身体が合ってきてぐんぐん引き込まれた。違う角度から世界を見る、という言葉が特に心に残る。
森の近くの村で“ジプシー”の人たちとも共存しながら祖父母と暮していた幼年期。社会主義が終わり、“独裁政治に台なしにされた後の地方の小さな町”で暮らすことになった暗く重たい少女時代(遠くへ行きたかった)。タルコフスキー始め、映画監督を夢見たブカレストでの暮し(女性であることの生きにくさも)。
そして日本との出会いを経て、青森県弘前で娘2人を育てながら人類学研究者として日々を送る現在(ふとした瞬間にチェルノブイリの影も)。それらを自由に行き来する文章で、書いた作者も凄いと思ったし、彼女に日本語で書いてみたらと声をかけた人も凄いなあと思った。あと、人類学へも興味が湧いた。





