佐々木朱鷺 "文庫版 書楼弔堂 破暁" 2025年7月15日

文庫版 書楼弔堂 破暁
本をこよなく愛する気持ちをそのまま書き起こした様な作品だった。書物は皆屍で人が読んで自分なりに何かを思う事で初めて書物は弔われる、という弔堂の主人の理論がとても好きだった。本を愛する全ての人間に敬意を持って慎重に言葉を紡いでいるのがとても暖かかった。弔堂に訪れる全ての人が真剣に自身や世の中と向き合っているのが良かった。 最終章の未完が一番好きだった。姑獲鳥でも思ったが京極夏彦氏の作品は許されないだろうと自身で勝手に線引きしていた後ろめたい事に寛容で少しだけ癒される。諭してくれるような、優しい雰囲気が漂っている。
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