
ゆげの
@hoochaa
2025年7月15日

やし酒飲み
エイモス・チュツオーラ,
土屋哲
読み終わった
もらった
はじめてのアフリカ文学
おもしろかった
文体もはちゃめちゃだしお話もはちゃめちゃなので、読み始めは “翻・弄” といった状態で物語と面を合わせていたのだけど、この独特な雰囲気が馴染んでくると、聖書とか古事記の類いと同じような面白さだと気付き、その後は楽しく読むことができた。
翻弄の例→「あるお爺さんの家に入ろうとしたらお爺さんは神様だったので人間は入れなかったのだが、私もそういえば神様だったので入ることができた」みたいな説明がいきなり出てきて、え えー となったりした。
また、「赤ん坊を頭からおろしたいと思ったのだが、そうは問屋がおろさない。」とか「私たちが火から人間の姿に戻ったらたちまち殺されることは火を見るより明らかだった。」みたいな記載もあり、やかましくて良かった。
アフリカのヨルバ語の文体を取り入れた新しい“英語”を、その文体のユニークさを保持したまま日本語に翻訳しようとしている翻訳者の土屋さんもすごいである。
この物語自体が豊かに興味を唆るものだし、さらにはアフリカの人々特有の生活や価値観が反映されたアフリカ文学全体への関心も誘導するものだから、文学部大学生が「やし酒飲み」を卒論のテーマに選んだら院進してしまうだろうなと思ったほどだった。



