もぐもぐ羊 "夏のヴィラ" 2025年7月15日

夏のヴィラ
夏のヴィラ
ペク・スリン,
カン・バンファ
『ブラウンシュガー・キャンディー』まで読んだ。 印象に残ったのは表題作の『夏のヴィラ』で、若いころに出会った年上のドイツ人と時を経てカンボジアに旅行に行った時の思いを後日主人公がドイツ人夫婦の妻に宛てた手紙という形で書かれていた。 世代も育った国も違う二組の夫婦にとってカンボジアを観光して感じることが異なり、ドイツ人夫婦が非日常の世界でそこに生きている人たちの命の輝き!みたいなものに感動しているのに対して、主人公夫婦(韓国人)は生活空間に異邦人が入って勝手に感動することに対するしらけた気分や義憤のようなものを感じ、最終日前日に口論になってしまう。 主人公夫婦は二人とも非常勤講師として不安定な暮らしていて心の余裕がなかったことや、金銭的に余裕がないため子どもをもつことを諦めているのに、ドイツ人夫婦に子どものことを無邪気に質問されたり、この夫婦たちの間に埋められない溝ができていたから仕方がない。 文化の違う国の人間が完全にわかり合うことはとても難しく、これについてはどうするのが正しいなんてことはないと思う。
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