
Yukinoue
@screamoon
2023年12月12日

ひみつのしつもん
岸本佐知子
旅先の香川県の駅中の本屋さんで、何かしらの力が働いてとって、迷い込んだキシモトワールド。前々から、ねにもつタイプ、なんらかの事情と、読んでみたかったのだけど、その本の著者が岸本佐知子さんであることと、数々の海外文学の翻訳をされてる岸本佐知子さんであること、全てが何一つ繋がってなかったので、驚いた。秘密の質問の岸本佐知子は、あの岸本佐知子さんだったんだ。
そしてそんな岸本佐知子さんの頭の中を垣間見えたかのような気がする、短編集のようなエッセイでした。特に好きだったのは、新しいツボ、海賊の夢、サークルK、ひぎる、友、会員、羊羹、たき火、夏、赤いリボン。
不穏な切ない、なんか思い出せそうな、得体の知れない、見て見ぬふりして、忘れたふりした何かが、ぽおっと見えそうになる、感じそうになる、雰囲気がそこにあるストーリーたちがとても好きだった。今日はほんとにジャックだったけど、なんやかんや、この時間になるともうだめ、あたしねもい、なんてこともきっといつか、こんなこと書いたことを私は覚えていない、キシモトサチコワールドにつれていかれ、訳のわからない言葉を教えられたのを。となるんでしょうか。
あ、そうそう、これがエッセイのようなものだとしたら、筆者は外にあまり出ていかず、色んなものに好まれない人として自分を描いて呟いているけれど、歯医者にいって、話が世界規模の歯センターにまでいけるなんて、本当に素晴らしい、と思った。自分が普段いかに同じような考えをして、変わり映えのしない思考回路を通っているんだろう、と反省。
