
noi
@harukyan95
2025年4月21日

読み終わった
もしも私がこの職場にいたら、どうだろうか。
押尾さんの立場だったら、芦川さんを嫌いになってしまうだろう。
嫌いになってしまった相手の手から作り出されたものを、体内に入れることへの嫌悪感を、私は知っている。
高校の頃、担任が手作りのバナナパウンドケーキを配り始めた時は、教室を抜け出した。誕生日に手作りのマフィンを貰った時は、二谷と同じく、手で握り潰してゴミ箱に捨てた。
もうすっかり忘れていた嫌な記憶。
多分、私が押尾さんでも二谷でも芦川さんが作ったお菓子は食べない。
そして、芦川さんに「私の分は作らなくて大丈夫です」と伝え、それで終わりにすると思う。
そう言い出す人が、この職場にはいない。
人がせっかく作ってきたものを断るということに、強いストレスを感じるのか。
それとも、みんな食べているのに「私はいらない」ということで、悪目立ちしたくないのか。
でも、食べたくないものを食べ続けるストレスもあるのだから、無理することでもないと思う。無理して食べ続けたら必要以上に相手を嫌いになりそうだし。食べ物は美味しく頂くのが礼儀だと思うから。
しかし、私の行動が正しいとも言い切れないのが社会の複雑さだ。
食べたくもない時に、賞味期限の短い手作りお菓子を渡される。しかも好きで関わっているわけでもない同僚に。
体内に異物を入れるという行為は、我慢しながら行うものではない。
