
にょ
@Yxodrei
2025年7月18日

四つの署名
アーサー・コナン・ドイル,
駒月雅子
読み終わった
読書メモ
(そういえば投稿していなかった!)
『緋色の研究』に続く長編第二作。今回もとても面白かった。不気味な館、謎の手紙、そしてテムズ川でのボートチェイス!緩急のある展開が絶妙で、まるで一本の映画を見終えたような満足感があった。
物語の構成も、前作よりぐっと洗練されている印象。事件を追うミステリ部分と、人間模様の描写が自然に絡み合っていて、読んでいて飽きがこない。
特に今回は、語り手ワトスンの描写がいつにも増して魅力的だった。依頼人モースタン嬢に恋し、浮き立ったり落ち込んだり、内心で大騒ぎしているワトスンが、とても人間味にあふれていて愛らしい。一方で、ホームズはいつも通り冷静沈着。まるで計算機のような男と、感情豊かな語り手とのコントラストが改めて鮮やかに際立っていた。
ふたりの関係性そのものが、このシリーズの最大の魅力かもしれない。
犯人の描写も印象的だ。
復讐に生涯をかけ、その果てに逮捕されながらも、どこか満ち足りたような表情を浮かべる人物には、哀愁と異質さが混じっていて、読後まで心に残る。動機の是非はともかくとして、“復讐を終えてしまった者の静けさ”には、不思議な魅力があった。
