
数奇
@suuqi
2025年7月17日

ブレイクショットの軌跡
逢坂冬馬
読み終わった
車種名としての「ブレイクショット」とビリヤードの用語をかけたタイトルで、ビリヤードにおけるブレイクショットのような物語の波及をとても緻密に構成した内容は素晴らしかった。社会における搾取的構造の中で、いかに「善良でいられるか」を問う内容で、とてもリアルに描かれる裏社会の実情には読むのを止められなくなるほど夢中になったが、一方で中盤くらいからやや冗長さも感じた。大きく風呂敷を広げた物語に対し、結末は急に綺麗にまとめようとしてきたと感じてしまい、物語の長尺さに対して期待したほどのカタルシスは得られなかったように思う。しかし作品のテーマや緻密な構成、読み応えなど全体的にはかなり良い作品で、それらをXという想像力を欠いたSNSへの痛烈な批判に繋げる内容はよくぞ描いてくれたと感心した。





