しらい弁当 "はーばーらいと" 2025年2月2日

はーばーらいと
はーばーらいと
吉本ばなな
自分が生きてきたことを 産まれて育ってきたことを まるごと自分を抱きしめるためにも 自分の周りのことを「いいもの」としてしまう つばさとひばりは おだやかな海の近くで生まれて育ち ひばりはつばさのことが 好きだ好きだといつも伝える 中学校を卒業する 卒業式ではむしりとるように ひばりはつばさの制服のボタンを奪っていった それがひばりに会った最後だった 高校を卒業したある日 つばさにひばりから手紙が届く 「少しでいいので助けてもらえないでしょうか?」 ひばりは両親を説得するために ある宗教施設に入っていたはず そこにタイトル「はーばーらいと」の扉が差し込まれている 久しぶりの吉本ばななさんの小説 宗教二世のこと 子どもは日々の暮らしの中で様々なことを考えて育つ ひばりも鍵っ子でつばさの家で育ったようなもので リビングで食卓で海辺で たくさんの仕草や会話のなかから考え方をはぐくんでいったんだろう 助けを求める相手がいてよかった 自分の身体を暴力的に奪われた彼女に 自分の匂いと体温が残る服でつつむ このシーンの厳しいけど温かい空気にきゅっとした 今、この時の選択が、この人生の全てじゃない いくらでも進路変更はできる その時に誰かに相談しながらも自分で考えて選択すること 傷ついてしまったら、傷を舐めてうずくまり 回復するまでじっとしてること そばにいてそれを見守ってあげること
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