
mikechatoran
@mikechatoran
2025年7月21日

私はゼブラ
アザリーン・ヴァンデアフリート・オルーミ
読み終わった
海外文学
生まれながらの亡命者であり、途中で母を失い、父と各地を転々とした挙句に天涯孤独となった身には「文学」がアイデンティティであり(しかも「文学のみを愛すること」は家訓でもある)、孤独を埋め、いつ何時やすやすと砕け散ってしまうとも限らない日常生活の脆さを知る者としての武器・鎧であると考えると、ゼブラが哀れでならない。何もかも簡単に奪われてしまうことを知る者には愛すら困難だ。著者が読者の共感を避けるようにゼブラを書くことも、笑えるほどなのだが、ゼブラの孤独と悲しみを際立たせているように思われる。興味深いのはゼブラが文学(死した人の言葉)を生きる糧にしているのに対して、ルードが文献学者(辞書学者? )だというその対称性



