
もん
@_mom_n
2025年7月21日

生命式
村田沙耶香
読み終わった
心に残る一節
@ 図書館
最近夏バテのせいか食欲が減退しているが、この本を読んだらますます食欲がなくなった気がする。言葉が人間の三大欲求に影響を及ぼすってすごいことだ。
『孵化』は特に刺さった。仮面を被って生きていることに悩んでいた数年前の自分に教えてあげたい。
p.24
おまえら、ちょっと前まで違うことを本能だって言ってただろ、と言いたくなる。本能なんてこの世にはないんだ。倫理だってない。変容し続けている世界から与えられた、偽りの感覚なんだ。
p.50
「だって、正常は発狂の一種でしょう?この世で唯一の、許される発狂を正常と呼ぶんだって、僕は思います」
p.243
スーパーの売場に冷たく横たわっている野菜の死体にはない、生きた味わいに内臓が揺さぶられる。私はこの街の破片に嚙みつき、唾液で溶かし、飲み込み、腹の中へ落としながら、ひたすら灰色の歩道を進み続けた。
p.259
私には性格がないのだ。
あるコミュニティの中で「好かれる」ための言葉を選んで発信する。その場に適応するためだけに「呼応」する。ただそれだけのロボットのようなものだったのだ。