
はる
@tsukiyo_0429
2025年7月18日

革命前夜
須賀しのぶ
読み終わった
ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツ、そしてクラシック音楽と、関心のある設定だったにも関わらず、読み始めはなかなか乗りきらず、断念しようかと何度も考えた。
序盤で主人公が「もともとラフマニノフはあまり好きではない」(P22)と、好きではない理由も含めて述べていてしょんぼりしてしまったというのもあるかもしれない。
自分の一番好きな作曲家について、そんなふうに言われるとは思っていなかったので……。
「第三章:監視者」のあたりから没頭できるようになり、特にピクニック事件あたりの展開にはハラハラさせられながら壁崩壊の瞬間を楽しみにしていたが、正直、これで終わり!?というラストだった。
『革命前夜』というタイトルだからそれはそうなのかもしれないが、不完全燃焼な感じがあった。
設定は私好みのはずなのに、心を揺さぶるものがなかった。
心をぐちゃぐちゃにされるあの感覚が、この小説では得られなかった。
ただこれは、この小説が悪いというわけではなく、今の私が欲しているものではなかったという、タイミングのミスマッチが起きてしまっただけのことなのだと思う。
素晴らしい作品であることは間違いない。
作者自身が経験していない世界をこんなにも密に描けるのか、という点は非常に驚いた。
東ドイツのヒリヒリした空気感、緊張感が伝わってきて、まるで当時の東ドイツを実際に経験しているかのような心地になった。

