
socotsu
@shelf_soya
2025年7月22日

読み終わった
ある属性を持つ人々へのステレオタイプ(弱さ・受動的)なものの見方から距離を取る、あるいはその価値観をひっくり返すために、受け取り手にとって別の望ましい意味づけをし、ひとつの力強いストーリー(抵抗できる強さ・能動的)として説明がうまくつくようにその人たちの人生を読み替えることは、それがどんなにポジティブなストーリーであったとしても、そこからこぼれ落ちるような人たちの存在を消してしまうことにもつながりかねない。この周囲の状況によって揺れ動く「主体」のあり方がこの研究によって示されたことは、個人的にも救われるものであった。
"このエリさんやヨリコさん、そしてトラブルを抱えながらも周囲の人のサポートを受けてなんとか居宅生活を続しているイツコさんのような人の選択や主体性とはなにかを考えるなら、主体とはあらかじめ自立してあるようなものではなく、むしろ複数ある選択肢のあいだで迷い、半ば偶然のようであったとしても決断した選択を、その後長い時間をかけて、失敗もしながら他者とのかかわりのなかで維持し実現していく、その終わりのない過程のなかにこそ表れるようなものではないだろうか。"
p.239-240



