女性ホームレスとして生きる〔増補新装版〕

8件の記録
- socotsu@shelf_soya2025年7月22日読み終わったある属性を持つ人々へのステレオタイプ(弱さ・受動的)なものの見方から距離を取る、あるいはその価値観をひっくり返すために、受け取り手にとって別の望ましい意味づけをし、ひとつの力強いストーリー(抵抗できる強さ・能動的)として説明がうまくつくようにその人たちの人生を読み替えることは、それがどんなにポジティブなストーリーであったとしても、そこからこぼれ落ちるような人たちの存在を消してしまうことにもつながりかねない。この周囲の状況によって揺れ動く「主体」のあり方がこの研究によって示されたことは、個人的にも救われるものであった。 "このエリさんやヨリコさん、そしてトラブルを抱えながらも周囲の人のサポートを受けてなんとか居宅生活を続しているイツコさんのような人の選択や主体性とはなにかを考えるなら、主体とはあらかじめ自立してあるようなものではなく、むしろ複数ある選択肢のあいだで迷い、半ば偶然のようであったとしても決断した選択を、その後長い時間をかけて、失敗もしながら他者とのかかわりのなかで維持し実現していく、その終わりのない過程のなかにこそ表れるようなものではないだろうか。" p.239-240
- socotsu@shelf_soya2025年7月20日読んでる「社会政策がいかにジェンダー化されているか」というナンシー・フレイザーの視点から、社会が想定している「女性」を遂行する存在であれば福祉制度を利用する対象として見出されやすいことへの批判がなされつつ(3章)、一方、現場で福祉制度を利用する女性らには常にジェンダー役割に沿った振る舞いが求められ、女性らもそれに応えている、という状況ではないことが実際の調査結果をもとに示される(4章)。 ジェンダー役割ではなくても、福祉制度を利用する人々に求められる規範的振る舞いはあって、この人は模範的な暮らし方をしているから制度を利用できるが、そうでない人はそこから弾き出されても良い、という現場での判断はあるのでは、という話でもある。