
saeko
@saekyh
2025年7月22日

逆ソクラテス
伊坂幸太郎
伊坂幸太郎といえば『ゴールデンスランバー』をはじめミステリー作品のイメージが強く、本作はトリッキーなタイトルと複雑で精緻なイラスト、そして「世界をひっくり返す無上の全5篇」という煽り文句もあり、きっとスリリングでエンタメ性のある作品なのだろうと期待して読み始めたのだが、まったくの見当違いであった。
小学校を舞台に繰り広げられる物語は、まるで重松清作品のように道徳的かつ教訓的で、どんでん返しがあるかと思いきやちょっとした意外性くらいのインパクトであったり、なんとも肩透かしを食らった気分になった。この穏やかさで「世界をひっくり返す」はさすがに大げさというか、看板に偽りありではないだろうか。
巻末のインタビューを読んでみたら「20年作家をやっていてはじめての作風」「苦労しながら書いた」というようなことが書かれていたので、ああなるほど伊坂氏にとって挑戦となる作品だったのだなということは理解した。先に調べておくべきだった。