
ぱち
@suwa_deer
2025年7月24日

世界99 下
村田沙耶香
読み終わった
読書会
読書会課題本
村田沙耶香さんの全部の作品は読めてないけど、これまでの作品の要素が散りばめられていて、集大成的な作品だなと思った。
物語としてはひどいことばかり起こるのに妙に面白く、というか先が気になって仕方なくページをめくる手が止まらなかった。
これを面白く読んでしまっていいのだろうか?という問題はあるけれども。
村田さんの過去作品と対比しながらいろいろ考えたくなる内容だったけど、読み心地という点では『コンビニ人間』が近かった気がする。
物語としても近い点はあると思う。
『コンビニ人間』は、主人公がコンビニという箱の中でなら「マニュアル」を用いて対応することで「正常」を保つことができるという物語だった。(逆にコンビニの外では無理という話だった)
でも世界そのものが流動的に変化し、それに呼応するように人間も変化し社会もまた変わる状況で、「箱」(『コンビニ人間』における「コンビニ」)そのものが機能しなくなっていて、『コンビニ人間』とは対照的にその無尽蔵に変化に対応しないといけない現状を描いたのが『世界99』だったのかなと思う。
そして機械ではなく人間なのだから変化に永遠と対応することなどできない。ここには「疲弊した人間」しかいなくなる。
ディストピア的に見えるけど、現に疲弊している人は多いと思うし、それは自分も例外ではないので、リアリティを感じる箇所は多かった。
それにこの作品を読むことで村田さんのこれまでの作品の読み方も変わりそう。いろいろ読み返したい。




