
ユウキ
@sonidori777
2025年7月24日

ジャッカ・ドフニ
津島佑子
読み終わった
借りてきた
アイヌと和人のミックスルーツを持つ孤児で、女性で、キリシタンで(かつ、キリシタンの中でもある種の疎外感を持ち)、移民でもあるチカのインターセクショナリティを描きつつ、チカップの喪失と自分への回帰、一人で育てていた子供を失った「わたし」の喪失と回帰の物語を、海と北海道のさすらいを通して描いている。面白かったし、これはすごい物語だな…。
本筋では無いものの、冒頭に描かれた東日本大震災による喪失感が読み手にもリンクして、物語により没入してしまった。
ゲンダーヌさんを通して描かれたウィルタや北方少数民族への日本の仕打ちや、キリシタンへの残虐さ、異質とみなされた人々への日本の眼差しなど、ところどころに滲む差別と抑圧への怒りは出版からほぼ10年経ってもまだまだ現実で解消できてないどころか、リアルタイムに危機感を覚える課題で、悲しい。


