
ユウキ
@sonidori777
ゆっくり読んでいる📚
フェミニズムと植民地主義に関心があります。
- 2025年10月10日文学が裁く戦争金ヨンロン借りてきた読み終わった戦争裁判を取り扱った小説から、作家たちがどのように戦争犯罪を見て、どのように文学の中で裁いてきたかを描き、文学が今後戦争をどう抑止する可能性があるのかを考えていく。 東京裁判、BC級裁判、戦時性暴力の裁判、または女性国際戦犯法廷などの民衆法廷も含む、多岐にわたる戦争裁判が題材となった作品を取り扱う。 興味深かったのは日帝植民地への加害者意識がすっぽり抜け落ちた作品があったり、朝鮮人たちが裁かれている作品があったり、井上ひさしが普通の人々も作品の中で裁いていたことだった。 また、時代によって受け取り方も異なる性質のものであること、筆者の描き方やジャンルによっては、読者は弁護人、傍聴人、裁判官などに自己投影してしまうとあったが、それは気をつけたいと思った。実際読みながら感情移入しやすいだろうなと思う作品も多々あった。 また、文学が戦争裁判を再審し、私たちに問い直す意味は過去の人との出会い直しであること、多角的な立場を見直すこと、それが戦争への抑止力につながるのではという可能性を、私も見出したい。
- 2025年10月8日光に向かって這っていけ: 核なき世界を追い求めてサーロー節子,金崎由美借りてきた読み終わった被爆者であり核廃絶のための平和活動を行うアクティビストのサーロー節子さんの活動の内容と、生涯を描く。 節子さんが仲間たちと核廃絶を訴える運動をしたり、核軍縮のための国際会議で奔走する様は胸を打たれるが、同時に核の傘の下にいる日本の冷淡な態度には怒りが込み上げる。アメリカ他核軍縮、放棄にに反対する国々やそれに連帯する国には、恥を知れとも思う。 節子さんの心を動かした「平和とは、ただ戦争が存在しないというだけではない。すべての人に社会正義をもたらそうという努力のプロセスである」というアクティビズムの原点の言葉と、文中で紹介されている栗原貞子の「ヒロシマというとき」という詩を知ることができてよかった。
- 2025年10月4日ナチスに抗った教育者對馬達雄借りてきた読み終わったナチス教育に抗った農村学校の教師の話。 ヒトラー始めナチ中枢人物の知性・知識嫌いは既視感がありすぎて恐ろしい。 命令と服従を学ぶこと、支配人種たる意識、感情を学ぶこと、全体に当てはまる政治的兵士に仕立て上げることが最終目的のナチスに対し、 ライヒヴァインはのびのびと知識を自主的に得て、学友同士は隣人関係であることを学ばせ、自分の頭で考えられるような人間になることを目指す。 最終的にナチスの拷問で処刑されてしまうけど、抑圧された時代に希望を捨てずに未来を育てようとしたライヒヴァインのことを覚えておきたい。
- 2025年9月23日ひとり暮しの戦後史塩沢美代子,島田とみ子読み終わった買った戦争でそもそも結婚の機会を得られず、国からの救済すら得られない中で、賃金等女性差別を受けながら戦後三十年を生き抜いて来た女性たちの貧困の声と闘いの歴史。 戦争で夫を亡くした人とは違う、そもそも戦火の中結婚の選べなかった未婚女性たちはこんなにも苦しい中生きてきたのか…と思いながら、その苦しさの中にある不安は共感するところも多い。 例えば、住まいの不安。老後の不安。年金なんてもらえないだろうし。 読みながら、どうしても路上生活者で殺害された大林三佐子さんのことを考えてしまった。 コロナ禍で奪われた仕事と住まいだったけど、自己責任論と生活保護バッシングで、最後のセーフティネットすら奪ってきたのは国だと思う。そしてこの本が書かれた時から根本的なところは変わっていないのではないか。 たくましく生きて来た(生きざるを得なかった)本書の女性たちの声は心強さも感じつつ、この国の体質に絶望も感じる。
- 2025年9月20日ハッブル望遠鏡が見た宇宙ロバート・ウィリアムズ,野本陽代読み終わった買った地球上空にあるハッブル望遠鏡の撮った銀河や星雲の写真の解説、ハッブル望遠鏡が宇宙に行ってからの天文学の話、面白かった。 途方もない宇宙の研究は人類の好奇心の歴史でもあるんだなあ。 1054年ごろの藤原定家の日記に書かれた突如出現した明るい星「客星」と、十八世紀半ばにフランスで発見された「かに星雲」、二十世紀はじめに膨張が確認された「かに星雲」の膨張速度を逆算して、「客星」と関係があるらしいという話は興味深い。 星とその爆発である超新星が生み出す重元素が、人間を構成する元素だから、私たちは星の子、星くずであるという話もロマンがあって良かった。
- 2025年9月20日エトセトラ VOL.13水上文読み終わった買った背表紙にある『「LGBTQ」から消されてしまいがちな女性やレズビアン、Xジェンダーの人々による、場所づくりや運動を記録する。』の通り、さまざまな活動や上の世代たちのインタビューが記録されていて心強さを感じる一方、 クィアのための本を読んでいるときには読者投稿欄の「自分の存在を消されたと感じたことはありますか?」にあるように、クエスチョニングの人の抱える疎外感に強く共感する。 しかし先代たちの切り開いてきた歴史が(特に女性やレズビアン)改めて本に纏まるのは良いなあと思う。こういった運動をしてきた/している人たちは本当に尊敬する。 あと、鈴木裕子が『帝国主義と闘った14人の朝鮮人フェミニスト 独立運動を描きなおす』の書評を書いていて嬉しい。好きな本なので。
- 2025年9月20日インターセクショナリティで語る植民地支配と侵略戦争ふぇみ・ゼミ&カフェ運営委員会読み終わった買った女性の経験から見た戦争経験、「慰安婦」だった女性たちへのインタビューやフィールドワークの経験、戦時中に日本に連行されてその後も日本で暮らさざるを得なかった女性、台湾の2・28事件、日本占領下の香港、傷痍軍人の研究等、イーターセクショナリティを前提にした植民地支配の語りは知らないことも多く、勉強不足を痛感する。 中でもショックというか思い至らなかったのは「慰安婦」という言葉に含まれた暴力性の指摘だった。そもそも慰安ですらない性奴隷制度で、慰安所以外での強姦が横行していたことも踏まえると、本書にあった日本軍性奴隷制、戦時性暴力の被害者という言葉がより包括的なんだろうと思う。 日本占領下の香港についての歴史の研究者が香港にも日本にも少ないのも驚いた。虐殺もあったが、日本でも触れられることがほぼないのは怖い。 私も香港は何度か行っているけど、日本の占領下にあったという事実以外はほとんど知らなかったな…。
- 2025年9月15日「九月」を生きた人びと加藤直樹読み終わった買った当時の状況と現在の状況を読み解きながら関東大震災から続く苛烈な百年に焦点を当てる。 愼 蒼宇の「朝鮮植民地戦争」にもあった植民地戦争の経験と植民地化の人々の抵抗への恐れの蓄積が背景にあるのではないかという当時の状況も、虐殺も追悼も忘れようとする今の日本の状況も恐ろしい。 今の嫌韓につながる藩屏論の話は興味深かった。 植民地で防波堤という道具であった「韓国」が日本の「近代」を進歩ではなく野蛮だったと問い直してくる。日本の自己認識のうちにあったはずの韓国が、対等な他者として現れてくることが、日本の自己認識を揺さぶってくる。 確かに、日本人(特にメディア)の嫌韓は一時期特に異常だったが、上記を踏まえると納得する。 ラムザイヤー論文にも丁寧に矛盾点を読み解いている。 「日本社会は「日本人だけがつくってきたわけではない」とあるが、本当にそのとおりだと思う。 この百年の歴史を追悼し、繰り返さないように共有していきたい。
- 2025年9月11日言語学的ラップの世界しあ,Mummy-D,TKda黒ぶち,川原繁人,晋平太借りてきた読み終わった日本語ラップを言語学から読み解く一冊。 母音で踏む韻だけでなく、子音で踏まれる韻の共通点など、言語学だけでなく統計学も駆使して日本語ラップを解析していくのが面白かった。 自分が話す言葉でも舌の動きやリズムを意識するようになってしまった。 また、ヒップホップの歴史、背景なども満遍なく記載があり、入門書としても面白い。 コロナ禍において、現役の名だたるラッパーたちと大学の講義をした記録も読めて良かった。 サイファーで自己開示をするエピソードもあったけど、つながるための術でもあると改めて認識した。 あと、Black Lives Matter運動を熱く語る「社会派Kダブ先生」のエピソードが差し込まれていましたが、なんで今、ああなんですかね……とがっくりきちゃった。。。 排外主義ラップも広がり始めたのすごく怖いんだけど、「ラップはもともと人種差別を受けてきた人々が、抗争をやめ人生を楽しむための文化として発展させてきた」(本文より)んだから、真っ先に抗うべきで、一緒になって煽るのは………ラッパーを名乗るのやめな…………と思った。
- 2025年9月5日ジェンダー・トラブル 新装版ジュデイス・バトラー,竹村和子借りてきた読み終わった「女というカテゴリー」を哲学者、思想家たちの系譜をもとに批判的たどっていく本書だけど、 本当に難解で多分1/4も理解できた気がしない…。 ただ、セックス、ジェンダー、セクシュアリティに求められている一貫性を突き詰めていけばいずれ矛盾が生じる事、 そもそも「身体」に与えられた「セックス」は自然のものではないのではないか? ジェンダーのまえにセックスがあるのは正しいのか?異性愛規範の強制と自然ではない「セックス」等々、よく理解できたらとても面白いのだろうなと思うワードはたくさんあった。 バトラー入門編が出ているらしいのでいずれ読みたい。
- 2025年8月31日フェミニズムはみんなのものベル・フックス,堀田碧借りてきた読み終わったベル・フックスの第二波フェミニズムにおけるフェミニズム運動の記録と批判、これからのフェミニズムの話について。 フェミニズムが「性差別をなくし、性差別的な搾取や抑圧をなくす運動」であると定義し、植民地主義的、帝国主義的な白人女性の特権階級によるフェミニズムを痛烈に批判しているが、インターセクショナリティの視点はフェミニズムにおいて重要な点だと改めて感じる。 日本であっても、エリート層の女性が(そうでなくとも、自分の立場を守りたい女性も)自分の特権を守るために、家父長制と手を組んでしまうことは身の回りでもよく見る光景ではある。 また、男性敵視に傾倒し、さらなる差別(トランスジェンダーへの差別など)に加担している女性も、悲しいかなSNSでかなり目にする。 「フェミニズムがめざすのは、支配をなくし、自由にあるがままの自分になることー正義を愛し、平和な人生を生きられるように、わたしたちを解き放つことである。だからこそ、フェミニズムはみんなのものなのだ。」で本書は結ばれている。 本書が目指す「みんな」で実践するフェミニズムはきっと世界を生きやすくするだろうと思うし、そうなってほしい。
- 2025年8月28日朝鮮植民地戦争愼蒼宇借りてきた読み終わった甲午農民戦争以降、日本の植民地戦争に晒された朝鮮の人々の民衆の抵抗の歴史と、大日本帝国の加害の蓄積を描く。 朝鮮の人々の中でも「義兵」「親日派」「村落」の人々とグラデーションがある中で、連座制で巻き込まれていく「村落」の人々の存在に、植民地支配における日常は戦時と隣り合わせだったという説が腑に落ちる。 また、植民地戦争において軍人たちが民衆の抵抗を「正当防衛」で正当化してきた経験の蓄積、また、抵抗されたという憎悪や恐怖の蓄積、それらが朝鮮の人々への差別心や偏見を生み、関東大震災における朝鮮人虐殺の下地を作ったとあるが、この蓄積は現代にも間違いなく引き継がれていると嫌な確信を覚える。 (日中戦争も復仇と捉えていたし、文書改竄で被害者数を矮小化したり、植民地支配や虐殺の正当化はここから続くお家芸か……と思った) 上記から関東大震災の朝鮮人虐殺は突発的、例外的に起きた事件でないことも納得できるが、それでも追悼文を送らなかったり、なかったとする言説は、蓄積への更なる加担だろうと思う。 文中にあった、朝鮮人は三度殺されているという一文はとても重い。 今まさに蓄積に後押しされて四度目を実行しようとしている人たちは現実に確実にいるし、国を挙げて、加害の歴史に向き合ってほしい。
- 2025年8月21日満州事変から日中戦争へ加藤陽子(日本近代史)借りてきた読み終わった満州事変勃発から日中戦争に至るまでの国内および国際情勢を細かくたどっていく。 用語等が読み慣れなかったので正直どこまで理解できたか自信はないけど、 ソ連に対する「国防」の観点から暴走していく陸軍、「経済」の観点から満州獲得を煽られた国民という日本国内情勢、 中国をどう食い潰すか狙う列強、内部分裂している中国、そしてそれらが連なる国際連盟という国際情勢を読みながら、うまく立ち回ろうとする日本政府の試みがどんどん日中戦争へと転がっていく様はまさに泥沼化としか言えない。 軍部の暴走と国際事情という複雑な政治事情が絡みながら、起こるべくして起きた戦争ではあるが、当時の日本人にとっては「復仇」であり「戦争」という意識がなかったということにも驚く。これが国際情勢における正当性も失っていき、「東亜新秩序」につながるのか…。 当時の中国が列強各国に踏み荒らされるのが当たり前の状況なのも驚いたけど、帝国主義はその歴史を持つ国全てが顧みないことには、この世界から無くならないだろうとも思った。
- 2025年8月14日フェミニズム・天皇制・歴史認識鈴木裕子借りてきた読み終わった天皇制の内包する女性差別、民族差別への痛烈な批判はまさにその通りだと思う。皇族自体への人権侵害もあるし、解体された方が良いと私も思う。 また、昭和天皇への戦中の犯罪を顧みない態度、戦後の「売国奴」たりうる保身的な態度、そしてそれが全て不問にされたことこそが、慰安婦たち被害者への国としての責任回避、戦争加担した人々の戦争責任への無関心さ、ひいては今に至るまでの歴史認識の改変にまでつながるのではないか。 2006年に出版された本であるが、2025年の今のことを書いていると言っても差し支えない記載がたくさんある。 戦後80年経っても状況が変わらないどころか悪化していることに、改めて恐怖を覚える。
- 2025年8月13日異形にされた人たち塩見鮮一郎借りてきた読み終わった1997年版を読んだ。 反差別を掲げるに当たって見直すべき「近代の目線」という視点が面白かった。差別と天皇という項目における、農民と天皇、穢多の人々と天皇の関係、また天皇信仰についての解説も興味深い。
- 2025年8月13日借りてきた読み終わった満州事変-日中戦争-太平洋戦争という「十五年戦争」の中で、女性たちがいかにして戦争に加担して行ったかを「銃後」の主婦たち、女性作家たちを辿りながら描いていく。 戦地に赴いて悲惨な死を見ながらも大東亜共栄圏という幻想に聖戦という目線から逃れられない作家、良妻賢母と母性というジェンダー強化で戦争に加担していく主婦、また、女性解放というフェミニズムですら戦争に利用されていく仕組みにゾッとする。 「あの戦時中に、我が生活を守ることと戦争協力が一致した時、行動してしまっていいのかという疑問が依然目の前に横たわっている」という一文が本文にあったが、 戦争機運醸成のために女性が利用され、また、積極的に加担していく様はその仕組みを知っていてもなお、生活を人質に取られた場合には現代においても逃れられるだろうかと自問してしまう。 また、戦争協力した作家や俳優たちはほぼそのことを省みることはなかったというのも、日本全体に通じる戦後の態度だと改めて感じた。
- 2025年8月11日従軍慰安婦・内鮮結婚鈴木裕子借りてきた読み終わった1992年の本だが、大日本帝国の行った「性侵略」の責任を、戦後45年経っても(経ったからこそ)逃れようとする政府への怒りがありありと感じられる。 近代化に必要とされた公娼制度に始まり、同化政策のための日本女性の内鮮結婚、朝鮮女性の慰安婦と、常に性を侵害される女性たち。そして、強姦され殺害される中国女性たち。 日本の女性に至っては、性侵略の被害者であり、同時に、植民地侵略に加担した加害者であるという二面性を突きつけられる。 戦後、慰安婦たち被害者への賠償責任をきっちり果たしたとは言えないという事実が、今でも買春許容国であること、歴史修正主義が横行していることに繋がってくるのではないだろうか。
- 2025年8月11日借りてきた読み終わった公娼制と「慰安婦」制度がどうやって広がり、繋がってきたのか。帝国日本が植民地支配の下で、性管理構造を整えていく過程や実情を描いていく。 「性」に関わるものであり、また、法の抜け道を探る中で生まれた彼女たちを指す名称が複数あること、公娼と「慰安婦」の呼称が人によって理解や認識が異なること(性奴隷か売春婦か等)、それらは現在に至るまでの根深い差別や分断を現しているのだと思うし、本質を見えなくさせることにも繋がっているのだと思う。 「慰安婦」バッシングは今も続く問題だが、軍と国が協力して、朝鮮人女性(または、日本人であっても底辺にいる女性)に対する性搾取の仕組みを作ってきた事実は歴史認識として持っておくべきだと感じる。
- 2025年8月2日にっぽん俘虜収容所―スケッチ写真記録林えいだい読み終わった
- 2025年8月2日国際法からとらえるパレスチナQ&Aステファニー・クープ読み終わった買った半年前以上前に出たブックレットだが、ガザの状況がここから更に悪化しているのが、遠い日本にいてもつらい。一刻も早く、ガザのジェノサイドを止めたい。 明らかな戦争犯罪を犯していて、実際にICCからネタニヤフに逮捕状が出ていても、米国により法の支配の実行が妨害される。 その米国の支援を受け、法を無視してジェノサイドを継続するイスラエルに、どう対処していけばいいのだろうか。 法の力が及ばなくなった世界にすでに足を踏み込んでいるのが恐ろしい。
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