
ユウキ
@sonidori777
ゆっくり読んでいる📚
フェミニズムと植民地主義に関心があります。
- 2025年11月16日
台所から北京が見える長澤信子借りてきた読み終わった36歳から中国語を学び、40歳で通訳になり、ついには自分の名を冠した中国ツアーを持つようになった著書の中国語をめぐるエッセイ。 子育てが終わってから中国語をやろうと、まだ国交回復をしていないときから計画を立てたり、自分が中国語を続けるために必要な費用を得るために看護師になったり、とにかく突拍子もないながら確実に人生設計を立てていくのがすごい。 憧れ続けた北京に降り立った時の感動、中国語の奥深さに触れ学び続ける意欲、語学勉強をしている見からしたら共感と羨ましさ、両方があり、とても刺激を受けられる本だった。 - 2025年11月15日
部落フェミニズムのぴこ,宮前千雅子,熊本理抄,石地かおる,福岡ともみ,藤岡美恵子借りてきた読み終わった「被差別部落」をルーツにもつ女性たち、関わってきた女性たちによる部落フェミニズムの著書で一番衝撃的だったのは、マジョリティによる「無関心」のレベルだった。 女性解放運動の中で部落女性が声をあげても沈黙を貫かれることが常態化しているのはショックで、そして私のこのショックもマジョリティの「無関心」が故だな…と思う。 被差別部落にルーツのある女性たちのもつインターセクショナリティ、二重、三重の抑圧への抵抗の声も、障害を持つ石地が訴える優生思想への抵抗も、知れてよかった。 マジョリティとしての特権を浮き彫りにされながら抑圧された被差別部落の女性、障害を持つ女性の声を聞くことは(特権を持つものとして傲慢にも)耳が痛いところはあるが、本を開いて他者と出会い、差別、優生思想への抵抗をどうにかして模索していきたいと改めて思う一冊だった。 - 2025年11月10日
読書と暴動 プッシー・ライオットのアクティビズム入門ナージャ・トロコンニコワ,清水知子,野中モモ読み終わった買った反権威、反プーチンをつらぬくプッシー・ライオットのナージャ・トロコンニコワによるアクティビズムの入門書。 自由と人権を掲げロシア当局に対する過激なパフォーマンスを繰り返すが、彼女たちへの(そして、権力者以外の民衆への)重い抑圧を打ち破るために必要な、そしてロシアの抵抗の歴史を汲むパワーで読んでいるこちらも勇気付けられる。 2年間刑務所で服役していたときに、身体から自由を奪われながらも得た「夢」や「自尊心」「想像力」と言った力を元に出所後さらに抵抗の運動に身を投じる人が、同時代に生きているというのがとても嬉しい。本当に勇気が出てくる。 あと、ずっと「権力」が「権力」たるゆえんを考えていたことがあるんだけど(民衆みんなで立ち向かえば打ち倒せるのにそれをできなくする力はなんだ…と思っていた)、やっぱり民衆一人ひとりが自由と人権を掲げて抵抗すれば世界は変わるのでは、ということも書いていて良かった。 政治的行動はアウトソーシングできない、政府をびびらせろ、心に刻んでおきたい。 - 2025年10月31日
カラマーゾフの兄弟 1ドストエフスキー,江川卓読み終わった買ったロシア文学を実は読んだことがなかったため初挑戦だったけど、思いのほか読みやすく、面白い。登場人物たちがこれからどう転がっていくのか楽しみ。 注釈も豊富だったし、訳者の解説もかなり面白かった!2も読むのが楽しみ。 - 2025年10月25日
ゴールデンカムイ 鶴見篤四郎の宿願 アニメBlu-ray同梱版伊吹亜門,野田サトル読み終わった買ったゴールデンカムイスピンオフ小説。鶴見中尉を中心に第七師団の面々が旅順攻略戦から奉天までの間に起きた謎に挑むという内容ながら、戦場におけるキャラクターそれぞれの感情などもしっかり書かれていて面白かった。 前山が宇佐美に物怖じしてないの良いですね…。あと尾形百之助が大好きなのでとても満足です…。 それにしても鶴見中尉は死した人たちへの弔いに強い思いはあるけど、これから死ぬかもしれない人たちへの命に対しては割と(自分自身を含め)冷酷だな…と思う。本編でも全然そうだったけど。 それが「満州が日本の土地である限り死した戦友たちは日本の土地に眠り続ける」「その日本を守るために北海道に軍事政権を樹立する」の大義名分で、 その冷酷さが隠せるどころかある種のカリスマ性となって部下に信仰されていくのは、(フィクションにおいては魅力的でありながら)、日本が辿ってきた歴史の文脈においては怖いところであるなあと思った。 - 2025年10月23日
宇宙はなぜ哲学の問題になるのか伊藤邦武借りてきた読み終わった宇宙の謎を切り口に、ソクラテス、プラトンから近代はカントまで、宇宙における人間の立ち位置を探ってきた哲学の入門書。 入門書といえど哲学は難しい…。宇宙の謎に迫るのに関連して、人間から見えた世界、または人間の内面、あり方などを定義づけていく試みがずっと行われているのは面白い。 確かに宇宙人との交流を想定したときに「人間」が基準であることで発見につながらない可能性はでてくるし、実際の世界と違い人間の目線でしか世界は捕えられていないというのも当たり前ながら、私は持っていない視点だった。 - 2025年10月23日
夕暮れに夜明けの歌を奈倉有里借りてきた読み終わったロシア文学を愛する著者の、ロシアでの留学経験、様々なルーツを持つ友人達との交流、国際情勢、そして敬愛する先生から得た学びの経験などをつづるエッセイ。 言語を学ぶこと、文学がつなぐもの、そういったものが著者の実体験に紐づいて読む私にも切々と感じられる。 言葉は人と人とを分断するが、つなぐ言葉を選んでいくこともできるというのが文学を学ぶ意義でもあるとあとがきにはあるが、まさにその体験そのもののような本だったなと思う。 - 2025年10月23日
- 2025年10月20日
借りてきた読み終わった沖縄戦を通して、集団自決や米軍への投降ができなかった心理状態、逆に命が助かった事例、無差別攻撃をする米軍の心理状態、当時の沖縄の人の戦争への向き合い方、また、現在まで続く米軍基地の問題など沖縄戦(その前の満州事変から)〜現在までを包括的に分析する。 命が助かった事例として移民として海外生活経験があった人たちの影響が大きいのが興味深い。 また、日本軍が民間人を戦闘に巻き込んだせいで兵士と民間人の区別がつかず、無差別攻撃を加えるというやり方をアメリカが太平洋戦争以降行っており、それが今のイスラエルのやり方にもつながっているとあり、現在でも(米軍基地問題ももちろんだけど)、暴力が引き継がれているのがショックだ。 現在の沖縄にある米軍基地への危機感を私たちはもっと認識した方が良いし、勉強しよう……と思った。 - 2025年10月19日
借りてきた読み終わった以前読んだ宗連玉著『植民地「公娼制」に帝国の性政治をみる』の内容を思い出しながら読んでいた。 日本は政治が絡む買春や性産業の歴史が長いとはいえ、性欲を適度に発散できる場所がないと民衆への強姦や暴力に及ぶという思い込みの下、女性の人権を一切考慮されずに、国際関係のみに目配せしながらこういう構造を作り上げて行くのはやはり異常では……。(最近のAVやエロ漫画の規制もこの論法が持ち出されるよね…) 女子児童の人身取引を取り締まる国際条約に批准しつつ、国家がその構造を維持したり植民地の女性にはより厳しい条件を課したり、アジア各地の「従軍慰安婦」についてはまだ判明していないこともあるなどあまりにも酷いけど、なおかつそれが反省されないまま今に至るのをひしひし感じる。 - 2025年10月18日
借りてきた読み終わった十五年戦争で従軍し、中国人捕虜を虐殺した著者による回顧録。捕虜を殺すまでのいきさつと、戦友との交流、それらの体験を通して自分と戦争について見つめ直して行く。 中でも慰安所での「恋愛」体験を振り返りながら戦後の従軍慰安婦たちの訴えにショックを受けつつ、自分たち兵士も侵略戦争の罠に嵌められた奴隷だったのではないか、という認識が興味深い。それぞれの立場から見る「戦時」、特に性暴力における溝の広がりをあらためて目の当たりにする。 著者が認める大日本帝国というバックがあるから犯せた虐殺や強姦、戦争犯罪における「愉楽」の部分は、確かに加害性を認識する上でも戦争の一部分であると直視しないといけないと思った。 - 2025年10月18日
存在しない女たちキャロライン・クリアド・ペレス,キャロライン・クリアド=ペレス,神崎朗子借りてきた読み終わった総称語は総称語であるにもかかわらず男性がイメージされるという話から、全てが男性基準にデザインされた世界の構造を紐解いて行く。 「世界はあなたを傷つけないようにはデザインされていない」はジェーン・スーの名言だけど、世界は女性が存在しない前提で作られているのだな…とため息がでる。 医療でさえ、女性の身体はホルモンバランス等で複雑であるため、男性のデータをメインに作られていき、なおかつ女性の痛みは軽視され誤診に繋がる。 政治や職場、生活において、女性のデータをとらないことで存在を消し、それが社会構造となる悪循環に加え、女性が受ける性暴力や無給労働などの搾取が当たり前となっている世界の異常さに、男性こそが気付いて欲しい。 - 2025年10月18日
続 窓ぎわのトットちゃん黒柳徹子借りてきた読み終わった窓ぎわのトットちゃんの続編。トットちゃん自身のバイタリティや豊かさもすごいし面白いけど、戦時中のママのパワーもすごい。前の本や映画からもママはお嬢さんのイメージがあったけど、農協や定食屋、行商に奔走する姿は気持ちがいい。 トットちゃん本人もお嬢さん然としつつ、嫌いなことはやらない、冒険もするという自由さで人生を楽しみながらも平和のことを祈りながら行動する姿が大好きだな。黒柳徹子、100歳どころか1000歳まで生きて欲しいよ。 - 2025年10月17日
戦争はいかに終結したか千々和泰明借りてきた読み終わった第一次世界大戦からイラク戦争まで、主にアメリカが関わった近代〜現代の戦争終結を「根本的解決と妥協的和平のジレンマ」から分析する。 現在の犠牲をとって将来の不安を潰すか、はたまた逆か、利益と損害を計算しながら政治家達が導く戦争終結は正解はないものの、どういう理屈で戦争が始まり、終わりに向かって行くのかがわかりやすくて興味深かった。 朝鮮戦争は身近ながら詳しく経緯を知らず、恥ずかしい。 東アジアで戦争が起きた場合の日米安全保障条約についても、想定される立ち振る舞いの記載があったが、やはり戦争は起きる前に……起こさないでいることを世界で共通認識にしたい…………… - 2025年10月15日
私たちの近現代史 女性とマイノリティの100年朴慶南,村山由佳借りてきた読み終わった関東大震災を軸に現在まで続く在日コリアンへの差別や女性、マイノリティへの差別、そしてそれらに戦争が与えた影響などを村山由佳、朴慶南が対談形式で語る。 シベリア抑留を経験した父を持つ村山と、祖父が関東大震災での殺害されかけた在日コリアンの朴が語る虐殺や戦争は軽やかな語り口だけど、生々しく恐怖の追体験をしてしまう。 とても読みやすく、面白かった!恥ずかしながら二人の著作を読んだことがないのだけど、読んでみようと思う。 - 2025年10月14日
- 2025年10月13日
いま語るべき日中戦争日中口述歴史・文化研究会借りてきた読み終わった日中共同で日中戦争の口述研究を行ったものをまとめた本。とある日本兵が送り続けた軍事郵便の分析や、当時の日本軍において蛮行を働いた加害当事者への聞き取り等興味深い研究がたくさん記載されている。 中でもやはり七三一部隊のような人体実験を行った当事者の話が衝撃的だった。 非道な人体実験といえば七三一部隊が一番に出てくるが、あまり日本では知られてない東洋のアウシュビッツこと波八六○四部隊の南石頭での虐殺、中国山西省で生体実験を行った湯浅謙の話など。加害描写もさることながら、証言した人々の苦しみと反省も生々しい。 日中の目線から語られる日中戦争の生きた歴史を残していくことは、今後の歴史認識においても重要だと思った。 - 2025年10月13日
語る歴史、聞く歴史大門正克借りてきた読み終わったオーラルヒストリーの取り組みを戦前の民族学の遠野物語を皮切りに、現代まで辿っていく。 戦時性暴力の被害者である「慰安婦」たちへの聞き取りや、石原真衣のアイヌがまなざすなどの本をいくつか思い出しながら読んだ。 筆者の聞き取りの姿勢をどうすれば丸ごと受け止められるかを模索する過程や、聞き取りをする中で相手が等身大の人生を持った人間として現れてくるといった話はとても勉強になった。また、聞く側と聞かれる側の立場の非対称性など、考えさせられる。 文献といった文字上の資料の大事さはもとより、民衆のオーラルヒストリーというものの重要性の理解が徐々に出来て来たかもしれない。 - 2025年10月10日
文学が裁く戦争金ヨンロン借りてきた読み終わった戦争裁判を取り扱った小説から、作家たちがどのように戦争犯罪を見て、どのように文学の中で裁いてきたかを描き、文学が今後戦争をどう抑止する可能性があるのかを考えていく。 東京裁判、BC級裁判、戦時性暴力の裁判、または女性国際戦犯法廷などの民衆法廷も含む、多岐にわたる戦争裁判が題材となった作品を取り扱う。 興味深かったのは日帝植民地への加害者意識がすっぽり抜け落ちた作品があったり、朝鮮人たちが裁かれている作品があったり、井上ひさしが普通の人々も作品の中で裁いていたことだった。 また、時代によって受け取り方も異なる性質のものであること、筆者の描き方やジャンルによっては、読者は弁護人、傍聴人、裁判官などに自己投影してしまうとあったが、それは気をつけたいと思った。実際読みながら感情移入しやすいだろうなと思う作品も多々あった。 また、文学が戦争裁判を再審し、私たちに問い直す意味は過去の人との出会い直しであること、多角的な立場を見直すこと、それが戦争への抑止力につながるのではという可能性を、私も見出したい。 - 2025年10月8日
光に向かって這っていけ: 核なき世界を追い求めてサーロー節子,金崎由美借りてきた読み終わった被爆者であり核廃絶のための平和活動を行うアクティビストのサーロー節子さんの活動の内容と、生涯を描く。 節子さんが仲間たちと核廃絶を訴える運動をしたり、核軍縮のための国際会議で奔走する様は胸を打たれるが、同時に核の傘の下にいる日本の冷淡な態度には怒りが込み上げる。アメリカ他核軍縮、放棄にに反対する国々やそれに連帯する国には、恥を知れとも思う。 節子さんの心を動かした「平和とは、ただ戦争が存在しないというだけではない。すべての人に社会正義をもたらそうという努力のプロセスである」というアクティビズムの原点の言葉と、文中で紹介されている栗原貞子の「ヒロシマというとき」という詩を知ることができてよかった。
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