
タレ
@miki_nike
2025年7月4日

水曜生まれの子
イーユン・リー,
篠森ゆりこ
読み終わった
@ 草枕
様々な年代の、様々な仕事を持つ人々の人生を、こんなにも物語れるなんてー。すべてのエピソードが本当にあったことのように息づいていて、なぜだか泣きそうになる。「列車の前に歩み出てきた」と言う鉄道職員。三十六個の植木鉢から流れ出る水。母親になるなんて、なんて向こうみずだったのだろう。こんにちは靴さん。さようなら靴さん。「くたばれ」。
イーユン・リーの作品を読むと、目の前が淡い寒色系のマーブル模様に染まっていくような気持ちになる。うっすらほのあかるい諦観。
登場する子どもの多くが、賢く繊細で生きづらそうにしているところに、筆者の長男の影を色濃く感じ、どうしようもなく悲しくなる。
あとがきで紹介されているインタビューで、「世界でひどいことが起きている中で、意味がないと感じてしまう時こそ、生活を回し続ける小さな物事(ケーキを焼いたり庭仕事をしたりすること)に喜びを見出す意思の力が必要である」という趣旨の発言をしているイーユン・リー。その哲学が大好きだし、どうか長生きしてほしい。








