
RIYO BOOKS
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2025年7月26日

シェイクスピア全集(24)
ウィリアム・シェイクスピア,
松岡和子
読み終わった
リチャードが、涙をこぼさんかぎりにしていった言葉は
いま振り返ってみれば予言に等しい。
「ノーサンバランド、お前は、従弟のボリングブルックが
私の王座に昇ってくるための梯子だ」──
神もご存じだが、あの時の私にはそんな意図はみじんもなかった、
だが、当時の状況が国家に平身低頭させ、私もやむなく
王座という偉大な権力に口づけしたわけだ。
「いずれきっと」と彼は続けて言った、
「いずれ必ず、この汚い罪は化膿してふくれ上がり、
破れて膿を噴き出す」──そう続いた言葉は、
まさしく今の状況と我々の友好関係の決裂とを
はっきり予言していた。
『ヘンリー四世 第二部』第三幕第一場

