もぐもぐ羊 "罰と罪 下" 2025年7月26日

罰と罪 下
罰と罪 下
オ・ファスン,
カン・バンファ,
チャン・ガンミョン
勢いに乗って最後まで読めた。 捜査の進展と犯人の独白が交互に綴られているのだけど、犯人の独白はほとんど適当に読んだ。 犯人が被害者のソリムを殺したのはソリムに罪があったからなのか? ソリムの言葉に激昂して刺殺したと告白しているけれど、ソリム自身がその言葉をどんな意味を込めて言ったか犯人は知らない。 この場合にソリムに罪はあるのか? 長々と独白をさまざまな哲学を引用して書き連ねていたけれど、ソリムを殺したことを正当化したかっただけで、実際はどんな理由があったにせよ不当なので、どんな言い訳も通用しない。 後半で犯人が捕まらないためなら人を何人殺しても構わないと考えていることや、周到に殺す準備をして実行に移したのは自分かわいさに他ならないわけで、自己中心的な人物であると思った。 タイトルについて考えてみたけれど、何で『罰と罪』なのかはわからなかった。 原題の『再捜査』ではインパクトに欠けるし、ドストエフスキーを多く引用しているからそうしたのかもしれないけど。 『罰と罪』という言葉に必要以上に引っ張られて考えすぎてしまった気がした。 『韓国が嫌いで』を読んだ時にも思ったのだけど、著者のチャン・ガンミョンは男性なのになぜ異性である女性を主人公にするのか? 女性刑事の主人公は警察組織でのマイノリティ(少数者)であるし、彼女に捜査状況を語らせることは意義があるかもしれないけど真新しさはない。 主人公のジヘが名誉男性のように描かれているような気がしてしまった。 女性警察官だから不利な思いをすることもたくさんあるだろうに、それには触れずにこういう時は女性だからやりやすいみたいなことばかりだった。 ジヘを欠点のない優等生のように描きすぎていて彼女の感情がたまに挟まれるとちぐはぐに感じた。 ドストエフスキー読書会のメンバーに対してジヘが感じたことを私はジヘに感じた。 貸出期限内に読み終われたので図書館に返しに行けるのがうれしい。
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