
kei
@k3245
2025年7月27日

愛するということ
エーリッヒ・フロム,
鈴木晶
読み終わった
エーリッヒ・フロム著「愛するということ」読了。
2025/7 4冊目
◎サマリ
・愛は技術である
・愛するとことと愛されることは表裏一体
・母性愛と父性愛、そして神への愛にまで言及
・規律と集中、忍耐。そして、自分を「信じる」ことが愛するためには必要
・愛することが難しくなっている資本主義社会への問いかけ
◎書評
高校生の時、合唱コンクールで「信じる」という曲を初めて知った。
谷川俊太郎さんが書いた歌詞の美しさがとても印象的だった。
「葉末(はずえ)の露(つゆ)がきらめく朝に何を見つめる小鹿のひとみ
すべてのものが日々新しい
そんな世界を私は信じる
信じることは生きるみなもと」
何度眺めているだけでも美しさを感じる文章だ。
しかし、「信じる」という詩全体は少々理解が難しい。
「地雷をふんで足をなくした子どもの写真
目をそらさずに」
このフレーズがなぜ急に登場するのか。
高校生の時は理解ができなかった。
しかし、このフロムの「愛するということ」を読んですべて理解できた。
フロムは愛することは技術だという。この本は恋愛指南書ではない。
なぜフロムが愛することは技術という考えに至ったか、深い考察がされている。
愛を考える時の核となっているのが母性愛と父性愛。
すべてを受け入れる母性愛と権威的な父性愛。このバランスがとても重要であるということ。
そして、神への愛へと理論は発展していく。
資本主義社会では、市場における等価交換が原則となっている。
愛も「自分がここまで愛したんだから、お前も俺のことをここまで愛せよ」といったふうになる。
しかし、自分をもっと信じ、まずは自分を集中して忍耐強く愛すればそういう考えには至らないだろうというのがフロムの主張だ。
すべてのものを客観視しナルシシズムから脱却してこの世のものすべてを信じ愛すること、その大切さを谷川俊太郎さんは詩に込めていたのだろうと思う。
こんなの現代社会では難しいでしょ…
フロムももちろんそのことは分かっている。難しいとわかりつつ挑戦することで、世界が少しでもいい方向を向き始めるのではないか。
自分も少しでも自分と他人を愛する努力をしてみたい。





