
ごんた
@gonta_books
2025年7月29日

茄子の輝き
滝口悠生
読み終わった
2016年に『死んでいない者』で芥川賞を受賞した作者の受賞後第一作。東京の小さな出版社で働く男性の静かな日常が、淡々とした一人語りのようなスタイルで綴られている。一見、なんていう特徴のない文章のように思えるけど、読んでいるうちに、この本の登場人物が生きているという本物の気配が、さざ波みたいにそよ風みたいに浮かび上がってくる瞬間があってハッとさせられたりジワっと温かい気持ちになったりする。「茄子の輝き」というタイトルも、そういう角度から日常の切り取り方をするところがニクいと思う。
