

ごんた
@gonta_books
本とランニングと阪神タイガースが好きです。気の向くままに気になる本を読み散らかしています。
- 2025年8月6日門夏目漱石,石崎等読み終わった前期三部作の締めくくり。希望だろうと何だろうと門は門でしかないという人生の残酷さ。宗助と御米の夫婦の過去をミステリアスに匂わせながら淡々と綴られる構成。二人の生きている気配が空気ごと静かに立ち上がってくる解像度の高い文章。漱石フレーバーのフルコース。
- 2025年7月29日茄子の輝き滝口悠生読み終わった2016年に『死んでいない者』で芥川賞を受賞した作者の受賞後第一作。東京の小さな出版社で働く男性の静かな日常が、淡々とした一人語りのようなスタイルで綴られている。一見、なんていう特徴のない文章のように思えるけど、読んでいるうちに、この本の登場人物が生きているという本物の気配が、さざ波みたいにそよ風みたいに浮かび上がってくる瞬間があってハッとさせられたりジワっと温かい気持ちになったりする。「茄子の輝き」というタイトルも、そういう角度から日常の切り取り方をするところがニクいと思う。
- 2025年7月28日神様 (中公文庫 か 57-2)川上弘美買った
- 2025年7月26日読み終わった1963(昭和38)年発表。ネット通販で1992年発行の文庫を注文したら、写真の通り1963年初版の単行本が届きました。髙村薫の『レディ・ジョーカー』や『晴子情歌』が好きで、ChatGPTで関連する文学作品を検索していたら、この小説を強くすすめられたのが出会いでした。なぜこの世は苦しいのか。いまを生きる私たちの苦しさが、教科書や映画でしか知らない戦後日本の人たちの苦しさと、地下の深いところを流れる水みたいにつながっている気がして、自分が今までどうやって生きてこれたのか、これからどうやって生きていくのかを考えさせられるような、考えるのがこわいような、そんな気持ちになりました。地球にはびこる暴力や倫理の問題を、やや前衛的な文体と構成で綴ったスリリングな読み心地の小説でもありました。
- 2025年7月24日薄情絲山秋子読み終わったザラっとした気持ちをかかえながら、もどかしい日常を歩く人間たちに「べつにいい」と寄り添いながら必要な酸素を送りこむポンプみたいな小説。暗くもなく明るくもなく、数値を明らかにされない周波数の光に照らされた「薄情」という言葉を胸に、私たちはそれぞれの未来へ歩き続けるのだと思いました。
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