七瀬由惟/Yui Nanase/あーしぇ "自由と理性" 2025年7月31日

自由と理性
自由と理性
R・M・ヘア,
村上弥生
道徳的な言明、判断は、普遍化可能性とその指図性にあるとする論証がきわめて論理的に示され、突っ込みどころも事前に封鎖されるという念の入れよう。ヘアの明解な論理になるほどと思いつつ、でもこれは理想論だよなあ、とも思う。 他者の立場にたって物事を思い致すことができるか、慮ることができるか、自分のこととして考えられるか、本書で取り上げられる道徳哲学って、なんだかそれに尽きる気がする。 身近なところに落とし込むと、今回の選挙で橙色のひとたち(とその支援者)は、本書のいう狂信主義者にすらなれていない、話の通じないひとたちであることがあらためてわかる。本作が書かれた1963年から60年以上経つのに進歩がない人類って⋯。そしてそういう人たちはこの本を読むことはないのだろう。 ちなみに、ちくまプリマー新書の8月の新刊、石田光規『自己決定の落とし穴』なども関連していそうで、ちょっと気になる。
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