
ゆい奈
@tu1_book
2025年2月3日

ヴィヨンの妻改版
太宰治
読み終わった
@ 自宅
『親友交歓』の明るさと皮肉のかけあいにすっかり虜にされ、『トカトントン』という奇妙なほど頭に残る軽やかなリズムに心が躍るのだけど実態は戦争後の虚無感、なにもかもに気力がわかなくなる様子に寒気がする。ここからの『父』『ヴィヨンの妻』『家庭の幸福』や最後の『桜桃』までは家庭崩壊というか、主人公自身が家庭を壊していくことへの恐れ、あるいは罪悪感、しかしこうするしかないのだという不器用さ。常に死にたい、自殺したいといったような暗さ(これを暗さといっていいのか、言葉が思い浮かばない)、死の予感に満ちていて、あ〜後期の作風だわ〜という感じだった。
切り捨てきれない、壊しきれない、これを優しさといっていいのかわからないけれど(すくなくとも、おい父〜 子がいるだろ〜 責任〜 浮気すなと何度も思った)、罪悪感に押しつぶされそうな心境だけは手に取るようにわかる。しかし太宰治という作家はそういうふうにみられることを想定済みであろうから、結局わたしは手のひらの上で転がされているのだろうな。私小説のおもしろさにどんどん魅了されていく。







