
Ayako
@aya_rb
2025年8月2日

ほんのささやかなこと
クレア・キーガン,
鴻巣友季子
読み終わった
また読みたい
さほど長くない素朴な物語の根底に、熱い血が静かに流れている。
ファーロングのほんのささやかな決断に、彼のまわりにいる人、とりわけ家族はどんな反応を示したんだろう。決して温かいものではなかっただろうと思う。
みな、自分の属するコミュニティとうまくやっていくための善良さを備えている人たちだと思うけれど、善良は必ずしもフェアな心やエンパシーとイコールではないし、残酷さとも平然と共存する。
これまでわたしが社会の中で見てきたものだと思うし、属してきてしまっているものでもある。
序盤で心をつかまれたウィルソン夫人、生きている彼女は出てこないのに、ずっと最後まで物語を支えている感じがした。
アイリーンが言うように、彼女も自分より弱い人々を意識せず搾取している側でもある。ただの高潔な人ではない描かれ方をしていて、だからつまり、高潔でなくともフェアであろうと努力し続けることはできるということ。

