
読書猫
@bookcat
2025年8月2日

とり残されて
宮部みゆき
読み終わった
(本文抜粋)
“人は成長して、大人になってゆく。でも、子供時代の自分は、本当にいなくなってしまうのだろうか?
肉体など、さして意味のないものかもしれない。わたしたちをわたしたちであらしめているのは、感情、思念、そして魂。
それは残ってゆく。わたしたちが、特別強くそれを抱いた場所に。とり残されて、独りぼっちでじっと待っている。その持ち主が、あるいはそれと共振できるべつの魂がそばにやってきて、揺り起こしてくれるのを。呼んでくれるのを。”
(「とり残されて」より)
“訴訟とは、原告と被告の争いではない。それぞれが時と争うだけのことだ。それほどに時間がかかり、忍耐を要する。そして、それだけの時を食いつぶすものであるからこそ、引き下がることができなくなるのだ。ここで諦めたら、今までの苦労が水の泡だ──この十年、わたしたち一家を支えてきたのは、もうこの言葉だけになっていた。”
(「おたすけぶち」より)
“運命を変えてはいけないなんて、戯言だ。それじゃ生きる価値もない。“
(「たった一人」より)