チャモピーピーチャマ "ファスト教養 10分で答えが..." 2025年8月2日

ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち
(要加筆)(何をメモに残せばいいのかまとまらなくてずっと反芻してる、そのくらい有難い本です) 世界を理解可能なものにして仕事がより捗るようになり目上の人と共通の話題で盛り上がることができて、そうやって自分の生活をより“豊か”にしてくれるものとしてのファスト教養について、それをとりまく環境と対処法について記述されている。 ホリエモン、中田敦彦、本田圭佑など時代の寵児と評される人々に対する筆者の態度は一概に厳しすぎるものでもなく、ファスト教養とそれを求める人への眼差しは、かつて「2004年に入社した自分」、可能な限り早く武器を得てもっと成長したいと切望した自分への優しい眼差しに基づいている。忙しくて追い詰められていて岩波文庫だなんだと読む暇はない人がファスト教養に活路を見出すことを否定しない。 ファスト教養を覗き込むとき、同時にファスト教養はこちらを見ているというのは大いに共感するところで、私が今までファスト教養的な本(教養のための、明日から役に立つ、誰も知らない、人生逆転といった眉唾な言葉で埋め尽くされた本)を敬遠していたのは、本が醸し出す不安に取り込まれてしまうのが怖いからだった。私はまだ読めなさそうだけど、勇気を出して研究した筆者をめちゃ尊敬している。 ファスト教養と古典的な教養の違いは、既製品を買うか手作りにこだわるかの違いに似ている気もする。どういうプロセスでできているのか、作るときに何を考えているのか、他のものとの共通点や相違点は何だろうか、もっとよくわかるためには次は何を作ればいいだろうか…というように、ひとつの対象に対して自分がどのくらい感性鋭く関わることができるのかというのが手触りのある作業によって引き出されているように、教養を得る過程そのものがその人の感性を訓練するものであるといいなと思っている。その点でファスト教養というのはできるだけわかりやすく美味しいものを、できた状態のまま食べたら舌が肥えますよというようなもので私とは相容れない。本文で「すぐ使えるようになるものはすぐ使えなくなってしまう」という言葉が引用されていたように、教養は一朝一夕で出来上がるものではないし時間をかけてじっくり育ててこそであるのに。 しかしそういった自己の内面の涵養のために学ぶことの現代社会においてなんと難しいことか。この本の次に読んだ『承認をめぐる病』において、現代を生きる人は以前にも増して他者との関係性、他者からの承認をアイデンティティとして生きているという指摘があった。この議論はファスト教養が流行する理由と繋がっていて、
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