
lemon__19
@lemon
2025年8月3日

文にあたる
牟田都子
読み終わった
どうして著者はこんなにも謙虚な姿勢で校正について語るのだろう、もっと堂々としててもいいのにと思いつつ読んでいたら、最後にその理由が分かった。校正という仕事は「受け身の仕事」なのだ。編集者がいて、著者が文章を書いたから、校正者としての仕事がそこではじめて生まれる。ゲラに鉛筆を入れる際も、「直す」のではなく「尋ねる」。あくまで提案をするだけ。文章や言葉を整えるだけでなく、事実確認に必要な調べものや、ゲラの引き合わせなど膨大な仕事量を抱えながら、それでも一文字一文字、絶対に「落とす」ことがないよう慎重に丁寧に作業をする姿が目に浮かぶ。読み終わってみると、本の値段がやけに安く感じてしまう。これはAIではなく人間にしかできない仕事なのだろう。本とはこんなにも手がかかって作られているものだったのかと知り、出版の奥深さに感動した。
