
読書猫
@bookcat
2025年8月4日

なぜ人は自分を責めてしまうのか
信田さよ子
読み終わった
(本文抜粋)
“「自分で自分を癒す」とか「自分で自分を肯定する」なんて、はっきり言うと、これはNGワードなんですけど「くそくらえ」だと思ってるんですよ。だから私は「自己肯定感」という言葉は絶対使わないし、それから、「自分を許す」とか、そういう言葉も嫌です。
他者との関係のなかで、結果的に自分が肯定できるようになることはあります。でも自分だけで自分を肯定することはできません。“
”ケアと暴力は、紙一重です。介護施設の暴力って、非常に危ないところにありますよね。だから、他者を一生懸命ケアする場所は、絶えず暴力に移行する危険をはらんでいるということを、私たちはもっと意識しなきゃいけないと思います。“
”共依存を表す一番わかりやすいフレーズが「あなたのために」です。“
“どうして他者のケアをすることが、気持ちいいのか。それは、相手を弱体化できますし、自分は強者の立場になるからです。かけがえのない存在になることで、自分はあたかも相手にとって神に等しい地位に上りつめることができる。
(中略)
だから「いいことやってる」と思ったら危ないんです。ケアにまつわる支配性を、よく知らないといけない。”
“やっぱり親子の問題は、親子だけ、まして母と子の二者だけでは、私はもう絶望的だと思う。そこには第三者の介入がなくてはいけない。“
”母性愛は制度=作られてきたものである。これを知るだけでも、自分は母性愛がないから人間失格だなんて自分を責めることはないということになります。“
”子どもは生まれさせられる。この事実を外してはいけないと思う。“
”自己肯定感も、自分を好きになることも、そして「心」も、結果として生まれるものではないか。
そのために必要なのは、他者である。自分を助けようとする他者だけではない。自分に似た経験をした他者、類似した他者の存在こそ必要なのではないか。“

