まいける "凍りのくじら (講談社文庫)" 2025年7月31日

凍りのくじら (講談社文庫)
久しぶりの辻村さん。 主人公の理帆子は高校二年生。「家に帰れば、本が読めるから」誰と話しても、本気で楽しいと思えたことがない。読者にしたらとっつきにくく、共感しにくい人物。でも、待てよ。高校時代の自分にもそんな要素はなかっただろうか。孤独や孤高に憧れて、半ば人生を達観してなかっただろうか。 「写真を撮らせてほしい」と言う青年と出会い、理帆子は内面を見せ始めるが、その一方でしょーもない男とずるずるつき合い続ける。ちょっと沈滞。 しかし、郁也の登場、母の病の辺りからぐいぐい物語に引き摺り込まれた。 後半一気に読んで、エピローグからプロローグに戻って、物語の深みに気付いた。 「あなたの描く光はどうしてそんなに強く美しいんでしょう。」 「暗い海の底や、遙か空の彼方の宇宙を照らす必要があるからだと。」 包んでくれている父母 彷徨える父母の想念を照らす光
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