
まにまに
@-bookmark450
2025年8月4日

美しい夏
パヴェーゼ,
河島英昭
読み終わった
かつて読んだ
虚空も掴みたくなる衝動が、何度足掻いても、込み上げて来て、それでいて玻璃のように脆い感情は砕けても砕けても砕ききれない季節が、
誰のこころにもあった。
十代の夏ってどこか永遠で、どこまでも続く気がするけど、背伸びして恋をしたり、少し年上の同性に憧れたり。
顧みればそれは美しい季節。だけど、当時には当時なりの葛藤や嫉妬や涙なんかあって、その頃、苦しんでいた自分を放っておく訳にはいかない。
性に対する好奇心や、初めて体感する愛という疼きから吐き出される息はもう白く染まって、季節の移り変わりを突きつけてしまう。
そしてその残酷な傷跡に気付かぬまま、人は彼女を時に少女と呼び、時に女性と呼ぶ。
流血は甘い痺れを模倣して。




