
rina
@r_1_n
2025年8月4日

羆嵐(新潮文庫)
吉村昭
読み終わった
なす術がないとはこのことか。まるでパニック映画を観ているような、でもこれは実際に起きた日本獣害史上最大・最悪の惨事であり、"自然の猛威"という言葉では足りないくらい恐ろしい。
この羆にとって人間は餌でしかない。火を焚こうが、音を立てようが、鉄砲を向けようが、大人数でかかろうが、人間の味を知ってしまった羆にとってはそんなものなんの脅威にもならない。銀四郎がいなければ被害はとどまるところを知らなかっただろう。ラスト、射殺された羆を殴る人々の胸の内を思うとやるせない。
羆を仕留めた銀四郎が語る羆の習性は、『クマにあったら〜』で読んだこととほぼ一致しており、どんなにテクノロジーが発達してもこういう教えや感覚的なものは大事にしないといけないと思ったし、人間"様"と思っている人間全員に読んで欲しい。





