
きよ
@kiyomune
2025年8月5日

コンビニ人間
村田沙耶香
読み終わった
入院中オーディブル第三弾。
主人公の古倉さんの思考を地の文で読んでいると、まるでAIの思考回路って、こんな感じなのかしら。
もう発表されてから10年経ちそうな勢いの作品なのに、まるでここ1、2年の芥川賞みたく思う。
たとえば話し方の流れとか、相手の話し方のクセを分析して、それに合わせて喋り方を変える理由が「こうすると喜ばれるから」なんて、AIの言語の組み立て方とよく似ている。
これを、研究者じゃなくて、一作家が生成AI台頭前、個人で書き上げたというのがすごい。
未来予測……と一瞬思ったが、考えてみると「予測」というより、もうすでにいた「溶け込みにくい」人を、観察力のある人が綺麗に傷なくくり抜いた、という感じ。たぶん、発表時からすでに「現在」だったんだろう。
多分、古倉さんが私の目の前にいたとして、観察力がないから、「自我がないな/考えがないな」と思ってしまうと思うけれど、地の文を読むと、ここには確かな「思考」がある。
自我は欲望に直結する発信行為だけど、考えは受動的な反射行為でもあるから、私が同時に抱くであろうふたつの感想は、ちょっと的確さに欠けるのだろう。
それにしても白羽さんは生理的に無理だ……どうしてコイツを一瞬でも生活に引き入れてしまったんだ……引き入れざるを得ない世界の圧を恨む……

